2

 ひょろりの手元に、スマートフォンのわずかな灯りを弾くものを認めて身を屈める。

 片腕にユリちゃんを抱き込み、片手で丸っこいを盾に持ち上げる。


 パンッ


 「ぎゃっ!」

 乾いた音がして丸っこいのが頓狂な声を上げる。

 

 「ラ、ラッキーだったぜっ、部屋まで、いく手間が、省けっ、はっ、」

 震える声でひょろりが叫ぶ。


 「あんたっ、コイツ、悪人だ、よ! もうっ、なんにんもっ、殺してるっ」


 キャンセルした仕事のひとつに新規顧客がいた、そいつらか。


 「お…親だって…へーきでっ、知ってんのかよ、コイツの親はっコイツに、」


 うるさいやつだ。気に食わない。


 目線を上げた、そのとき、

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る