第40話 唖然


 締め切りを過ぎてついに12歳の文学賞の結果発表が来た。


 近くの本屋でさっそく受賞作が掲載されている本を買い、家でじっくりと読んだ。



 そのとき私は唖然とした。


 同じ年頃の子たちが、私が書いたレベルのものよりはるかに高い文章力を駆使して大人顔負けの作品を作っていたからだ。


 一字一字追っていくうちに私はむなしくなった。


 悔しい。


 やっぱり私って才能ないんだな。


 燦然と輝く才能の宝石たちに十二歳の私はたじろいだのだ。


 


 そして、何より衝撃だったのは大人専用の公募新人賞で十五歳の少女が受賞してデビューしている事実が書かれていたことだった。


 本はさらに酷なことを書いていた。十三歳の少女が四百枚のもの長編ミステリー小説を書きあげ、これまた受賞していたのだ。


 そして、十二歳の文学賞でも二五十枚もの量の小説を書き上げた同年代がいたことに幼い私はショックで立ち直れなかった。


 本当に悔しくてただひたすら受賞作の罵詈を編み出していた。


 


 あれから、私は成人し、子供ではなくなった。


 十代にかけて人よりも相当苦労を重ねただろうと我ながら感心する。


 

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