アンヘドニア(無快楽症)

第21話 アンヘドニアとは


 先日、受診すると、また精神疾患名が増えた。


 2型の双極性障害を指摘され、おかげで精神疾患を網羅した。


 双極性障害と言えば、自分がすごいと思えるような万能感を思い浮かべるケースを思うだろうが、そういった症状がない双極性障害もあり、私の場合は感情の起伏とフラッシュバックが止まらなくなる主な症状だった。


 実際、解離性障害が統合され、複雑性PTSDになり、それから治ろうとする経過で双極性障害も発症してしまうケースも多い、と主治医は話した。


 


 つけ加えると、私は適応障害とうつ病も併発している。


 しかし、解離性障害の回復の過程であって、今の経過は順調よく行っているのだという。


 双極性障害と言えば、不治の病や遺伝的な要素を思い浮かべる方も多いだろうが、最新の知見によるとコントロールさえすれば、ほぼほぼ治るという概念になりつつあり、昔ほどは怖がらなくていい、とのこと。


 双極性障害状態は誰もが発症する可能性があり、例えば、バブルの頃の日本はほぼほぼの日本人が罹患していた可能性がある、と主治医は話してくれた。


 うつ病と双極性障害の概念が一新され、遺伝的な要素は気質の問題であって、昔のような不吉な意味合いで診断されなくなってきているのだ、という。


 


 気分の浮き沈みは誰もがある。


 


 私には東大卒で双極性障害を抱えている友人がいる。


 友人もまた、YouTubeなどで自作のゲーム音楽を配信しているので、薬や認知行動療法でコントロールすれば、決して怖い病気ではない、と彼の体験談からもうかがえる。


 


 題名のアンヘドニアとは、主に鬱期にある、何をしても楽しくない、という症状のことだ。


 解離性障害が悪かった頃、何をして楽しくなかったあの感覚をアンヘドニア、と知ったのは最近のことで、実はこのアンヘドニアの症状がある人は、意外にも多いのではないか?


 


 ショッピングモールに行っても楽しくない。


 旅行に出かけても楽しくない。


 毎日が砂を噛むようだ。


 SNSで他者と比べてしまう。


 好きだったものが楽しめなくなった。


 


 こんな症状になった経験がある方は意外にも多いのでは? とネット上にある希死念慮の書き込むを読むと同感する。 


 ただ、言えるのはあの不可思議な症状にアンヘドニア、という名前が付いたことで、私の中で腑に落ちた。


 双極性障害にはなっても、解離性障害のときのアンヘドニアはむしろ、軽減している。


 前はショッピングモールに出かけてもちっとも楽しくはなかったけれども、今はそれなりに楽しい。


 どんなにつらい精神疾患もアンヘドニアも徐々に年月を辿るにつれ、良くはなる。


 アンヘドニアで苦しんでいる方もいつかは良くなる日があるのだ、と体験談から伝えたい。 


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る