第12話 秘密の交換

ルーカスはわたあめを南に差し出して言った。

『僕になにか文句でもあるの?それって、ご飯あげてもダメなこと?』

南は渡されたわたあめを食べながら言った。

『じゃあ、山地と別れてくれる?それで、俺と付き合ってくれたら文句言わねえよ。そんなこと出来ないよな。だって、お前学校っていう世間の中でそんな俺みたいな異物と付き合えないよな。分かってるよ、そんなこと。冗談で言っただけだから...』

ルーカスは南を見つめて言った。

『うーん、僕は山地でいっぱいいっぱいだから無理かな。でも、君が男を好きだってことは黙っとく。その代わり僕の秘密も黙っといてくれない?』

焼きそばを食べながら南は言った。

『秘密ってなんだよ?お前の秘密ってどうってことないことだろ』

ルーカスは空を見上げて言った。

『僕はね、人を愛せないんだ。女の子だけが愛せないとかじゃなくて、男も女も関係なく愛せないんだ。でも、気にしてない。愛せないなら愛す方法を見つけるだけだから。そのために、愛せる方法を知ってる山地と付き合った。愛するってどんなことか知るためにね。もし、愛せる方法が見つけられたらその時、南と付き合っても良いよ。どう、僕の秘密守ってね。約束だからね。じゃあ、そろそろ行くわ』

風のように去ったルーカスの後ろ姿を見て、南は声に出して呟いた。

『最高に面白いな、あいつ』

文化祭はそろそろ終わりそうだった。

みんな中学3年の最後の文化祭を楽しんだ。

文化祭が終わると期末試験が始まる。

周りはみんな勉強をし始めていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

下駄箱にある君の靴にくっつきたい ソノハナルーナ(お休み中) @eaglet

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ