第8話 付き合うのは愛のためだけじゃない

『下駄箱にある君の靴にくっつきたい』8話

ルーカスが山地結衣と付き合うと決めた日は体育の時間だった。

その日は体育の日にルーカスは丁度右手を骨折していて、山地は女の子の日で見学していた。2人に会話はなかったけど、突然...山地がルーカスに話しかけてきた。

『ルーカスくんのそれ、アイアンマンの手みたい。笑える』

ルーカスは笑う山地を見て言った。

『アイアンマンって何?僕、スポーツドラマとか恋愛系しか見ないから分からないや。それに山地って笑うんだな。いつも笑わないくせにこの手で笑うとか、おかしすぎるだろ。それに、笑えるなら普段も笑えよ。その方が可愛くて好きだぞ』

山地は体育座りになって顔を埋めて言った。

『そんなのルーカスくんに言われなくても分かってるし、でも私笑い方ブサイクだからそれは無理。それに好きとか簡単に言うから女子は勘違いしちゃうんだよ。好きはもっと大切な時にとっときなよ』

ルーカスは手を痛がりながら言った。

『誰かに笑い方ブサイクとか言われたのかよ。そんなの気にするなよ。僕は好きだぜ、君の笑い方。それに好きは取っとくより言う方が良いって僕の父さんは言ってたよ。嫌いより好きの方が断然いいだろ』

山地は言った。

『じゃあ、今までルーカスくんが断ってきた子たちには申し訳ないけど、私と付き合わない?私知ってるよ。ルーカスくんが人を愛せないって。愛せないなら愛し方、私が教えてあげるよ。好きの返し方も教えてあげるよ。そのかわりルーカスくんの本音教えてくれない。人を愛せないってどういうことか教えてほしい。どうかな、ルーカスくん』

ルーカスは山地の隣に座り言った。

『別に...山地は無害だから付き合っていいよ。それに人の愛し方教えて欲しいしな。それに僕の本音聞いてびっくりするなよ』

山地はルーカスを見て笑い言った。

『じゃあまず恋人には名前で呼ぶの。だから、私のことは山地じゃなくて結衣って呼んで、私はルーカスって呼ぶから。それからみんなには付き合ってることきっと分かっちゃうから。ルーカス、口軽いと思うしだから、思い切って付き合ってることは内緒にしないでね』

ルーカスはひとつひとつ聞いて言った。

『分かった...山地じゃなくて、結衣。これからよろしく』

そんな話が終わりチャイムがなり、ルーカスはみんなの輪へと入っていく。

そして、ルーカスは結衣を呼ぶ。

『みんな、僕、結衣と付き合ってるから』

結衣は取り巻きの女子から釘付けだった。

結衣には辛い過去があった。

それが話せるのはルーカスだけだった。

それは何か。

次の話はルーカスに山地結衣が自分の過去を話す話である。

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