一章 王都争乱編〜どきっ!アレが噂の王子さま!?〜
第一章 プロローグ
ざわ…ざわ…
王都は今、喧騒に包まれていた。普段から賑わうかの都だが、此度の喧騒は些か平時とは異なるものだ。その理由とは…
「見ろあの馬車だ…。あの十二の星の紋章に黒塗りの馬車…。ジョルスキヌスの最高位の司教たちが、王都に集まってるって噂、マジだったんだ…」
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街娘たちが黄色い声を上げた。
「見た!?あのカッコいいお兄さん!あのローブってハイヴァーン魔術学院の物よ!」
「ね!超エリートよ!」
「う〜ん、でもなんだか絵の具塗れで微妙じゃなかった?確かにハイヴァーンの出だからエリートなんだろうけどさ」
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ある店の店主がすっからかんとなった店内で、常連の客に話しかけた。
「お、おい、あの爺さんうちの店の商品全部買い占めて行きやがったよ…。価値がどうとか言ってたが…」
「お前そりゃ『強欲』の商会会長だよ!お前の店、次に流行るって目ぇ付けられたんだ!こっから忙しくなるぞ!」
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悪ガキたちがはしゃいでいる。
「なぁなぁ!見たかよさっきのシスターの婆さん!ガリガリで干物みたいだったぜ!ちょー怖ぇ!」
「見た見た!ミイラのモンスターかと思ったぜ!まじ怖ぇ!」
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年若き冒険者たちが恐れ慄く。
「うわぁ!なんだ!?こんな真昼間から蝙蝠の群れ!?」
「天変地異の前触れか…?恐ろしいったらありゃしないぜ…」
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王都に嫁いだばかりの若い娘が目を見開いた。
「あ、あれ?さっきもあの子見た様な…。双子?え?3人目…4人目…5人6人!?な、何人いるの!?」
「あら?貴方初めて見るの?ここじゃよく見る光景よ?この区画はあの子たち…ベルクホルン様の『
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とある老夫婦が陽だまりに腰掛け、微笑みを浮かべた。
「『博愛の園』からアーモ様が出てこられたとか…ありがたやありがたや…かの精霊の愛子の御姿をまた見られるとは…」
「『博愛』様を最後に目にしたのはワシらがまだ、子どもの頃じゃったのう」
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職人街の荒くれ達がざわざわと騒いでいる。
「『黒の聖騎士』達だ。やっぱ『四色の聖騎士』の中でも迫力が違うな…。あの鬼気迫る感じ…ぶるっちまうぜ」
「あぁ、またデカい大捕物でもあったのか?」
「いや、なにかデけぇイベントの前にはああやって練り歩くんだ…。牽制の意味も込めてな。だが…何があるんだ?祝祭にはまだ遠いし…」
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十二の星々を崇める者たち。彼らは今、王都に集結しつつあった。
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