不穏・不安・不快の三拍子がそろった素敵な島ホラー!

これは島を巡る因習の物語であり、血脈を巡る因縁の物語でもある。

ひとりの男が旧友の招きに応じてとある島を訪れるところから話は始まるのだが、男を誘き寄せたのは新種の蝶だったのか、旧友との縁だったのか、あるいは……という、読み進めるごとに真実が見えてきて、ミステリーとしての面白さもある。
しかし、それよりも巧みな描写によるホラーの要素が、この物語を突き抜けて素晴らしいものにしているといえるだろう。
個人的にホラーに欲しいのは不穏・不安・不快の3要素なのだが、この物語は不穏な島を舞台に、不安を掻き立てられる筋書きを、不快な男が辿っていくというもの。3要素がしっかり揃っていて面白くないわけがない。

因習だとか大昔の惨劇だとか伝承だとか、そういったものが好きな人にぜひおすすめしたい。
とにかく面白い。