第13話 濡れたカラダ

“ピンポーン”




「…はいッ…んッ…」




先に美優が巧に部屋に入り、後から巧が入るようにして今日は家に帰った。




巧が帰るなりキスをしてきた。




「お風呂…いれた?」




「うん…」




巧が美優の手を引っ張るが美優は動かなかった。




「お風呂はちょっと…恥ずかしいし…」




「はぁ!?風邪引くだろが!それに全部どうせ今から脱ぐだろ。」




「嫌だ!恥ずかしいから嫌だ!」




「…じゃあお前から入って来い。」




「いいよ、巧からで…」




「あぁ~風邪引きそう~」




そういって美優をチラ見してきた。




「…わかった!一緒に入る!」




巧は服を脱ぎランドリーボックスにいれ先に浴室に入っていった。




「早ッ…」




美優も自分の服を脱ぎランドリーボックスにいれ、バスタオルを巻きつけて中に入っていく。




巧はすでに湯船の中に入っていた。




「お前どうやって体洗うの?」




「…巧ちょっとあっち向いていて。」




「ヤダ。」




美優はモジモジしながらタオルを外すか外さないか迷っていた。




“ザバァ…”




巧がバスタブからあがって美優からバスタオルを剥ぎ取った。









「俺がカラダ洗ってやる。俺が見てなきゃいいんだろ?」









巧は美優の後ろに立ってシャンプーを手に取った。




“ゴシゴシゴシ…”




巧が美優の髪の毛を洗い出した。




「自分でやるよ。」




「…お前は前を向いとけ。」




美優は前にある鏡ごしに巧を見つめる。




(なんか…男の人に髪の毛洗ってもらうなんて不思議…)




トリートメントまで手際よく巧はやってくれた。




「次はカラダだな。」




巧はボディソープを手にとって美優の腕を洗い始めた。




指先を絡ませたりしながら、ゆっくりと指先から肩まで上下しながら触ってきた。




ボディソープのヌルヌルの感触がより一層美優を気持ちよくさせた。




「巧…やっぱ私自分で洗うよッ…」




「お前が洗えないっていうからだ。それに俺は見てない。」




「そうだけどッ…アッ…」




巧は胸を触ってきた。




そのまま手はお腹から下へと伸びてきた。




「やッ…んッ…」





「俺はカラダ洗っているだけだけど、気持ちいい?」




美優は首を縦にふることしかできなかった。




そのまま脚を洗って、シャワーで洗い流してくれた。




そのままバスタブに二人で浸かった。




バスタブは大きくて二人で入って足を伸ばしてもぶつからないぐらいだった。




美優は恥ずかしくて体育座りをしてバスタブの端っこでチョコンと座っていた。




(なんか私だけ恥ずかしいなんて…なんか嫌だ…)




「美優。」




巧が美優を手招きし、美優は巧のほうへ向かう。




「わぁっ!」




巧は美優を自分の股の間に座らせ、後ろから抱きしめた。




“ドッ、ドッ、ドッ…”




(え…?)




美優は巧のほうに目をやると巧が美優の心を見透かしたようにいう。




「緊張しているのはお前だけじゃねぇよ。」




そういって顔を赤くしてそっぽ向いてしまった。




「今顔が…」




「上せたからあがる!」




そういって巧はお風呂から出て行った。




「巧でも赤くなるんだ…」




美優は嬉しくなって笑顔になる。




お風呂からあがると巧はリビングで夜景を見ていた。




いつきてもこの夜景はすごいと思う。




ずっと見ていても飽きないそんな夜景だ。




「美優、こっち来て。」




巧の前に立つと巧が作った結婚指輪をはめてきた。




美優はじっくりと自分の指にはめられた結婚指輪を見つめる。




二人の結婚は秘密で公にできなくても、目の前の夜景が祝福してくれるようだった。




これから先のことはわからない




だけど今、今この時はとにかく幸せだ、そう美優は思った。




美優の左手に巧が手をあわせ指を絡ませてくる。




巧の部屋は電灯はついていなかった。




だけど夜景の光で十分お互いの顔は見えた。




「美優…口あけて…」




そう言われて口を開けると巧の舌が入ってきた。




ねっとりと舌が入ってきたかと思えば、舌先をつつかれたりして、離れてはくっついての繰り返しだった。




“パサッ…”




バスローブを脱がされ裸にされた。




巧もバスローブを脱ぎ、鍛えられた体に夜景の光が美しく、どこか寂しく照らした。




巧は美優をお姫様抱っこして寝室のベッドへ連れていく。




“ギシッ…”




巧が美優の胸に耳をあてる。



 

「美優の心臓の鼓動早い…」




「緊張しちゃって…くすぐったいよ」





「もっと気持ちよくさせてやるから…な?」







耳元で甘く巧に囁かれると魔法にかかったように体が従った。





巧の甘く切ないその表情をみたら、もっとずっと近くでみたいと思った。




この表情はきっとこのベッドの中だけ――




私と巧の秘密――

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