第3話 プロットはどこまで固めて書いたら良いの問題

 まず最初に、プロットを作らず10万文字以上さらに完結まで書けますという方はプロット作らなくていいと思います。そういう方にプロットを無理やり使ってもらって書けなくなる方が怖いのでお勧めしないです。あとは、初心者向けの内容になるかと思いますのでそこもあしからず。


 さて、本題に戻りましょう。例えば中編(2万文字)以上の物語を書けたことがないという方には、プロットを作ることをお勧めします。方法は拙作のこの創作論の第1話や、他の作者様の創作論がたくさんありますのでそちらを見て参考にしてみてください。


 ここで考えるのはプロットを作った方がいいと思うけど、じゃぁ「プロットはどこまで固めて書いたら良いの?」という問題です。


 人間ドラマ、ラブコメ、恋愛、こういった要素の作品はプロットをゆるくする方がいいのかな、と私は思ったりしています。移動する場所、イベント、時間などを大まかに決めてあまり細かく決めずに成り行き任せで書いていっても良いのではないかと思っています。


 第1話のプロットのお話で東京から博多に行くという旅の予定表を例にしてお話をしました。その間に大阪と広島を観光しようと思っていました。でも、途中で「そうだ、京都に行こう」って脱線して予定表には書いてない京都も行くことにしたっていいじゃないですか。旅の目的地である博多にんですからというお話です。


 感情の変化を描きたい作品は、その時の直感で書く方がいい結果が生まれやすいようです。でも最初から最後まで直感で書くのは難しいですし、旅の途中で迷子になってしまう可能性が高いです。


 ですからプロットで最低限の流れだけは決めて、プロットから外れたらプロットを変更するくらいの勢いで書いていってもいいと思います。どれだけ脱線しようともこれだけは外せない、と自分が思うプロットを通り最終地点(2万文字以上、できれば完結)にたどり着ければいいと思うからです。



 では逆にプロットをガチガチに固めた方がいい作品はどのようなものでしょうか?


 これはミステリー作品が多いようです。


 謎を提示して読者様に答えを考えてもらう。その時、作者様の作った謎と解決を楽しみに読者様は読みに来てくださっているという点を、最大限考慮しなくてはいけないと思います。


 厳格にだすヒントを選び、そのヒントを小出しにし、小さなヒントを積み重ねて正解にたどり着いてもらう。展開を計算しておかないとストーリーに支障がでてくる可能性があるのがミステリー作品のようです。


 登場人物のキャラクターが勝手に動いてたとか、作者様のその時の気分でプロットからの脱線を許してはいけないのがミステリー作品の特色のようです。なぜかというと、一つの脱線は他の場面で矛盾を作ってしまっている可能性がとても高いんです。


 1つ脱線してしまったために、他の場面も修正をしなくてはいけなくなる。全て修正したつもりでも、1つでも修正をし忘れた点は読者様から突っ込みが入ります。矛盾はストーリーの破綻と受け取られてしまう。


 苦労して完成させたのに全てが水の泡になってしまう。この危険性や手間をなくし読者様に最後まで読んでもらって楽しんで満足してもらう。それを達成するのに便利なのがプロットでガチガチに固める方法だと私は思っています。


 1つ嘘をついたら(展開を変えたら)それを隠すために、また嘘をつかなくては(展開を変えなくては)ならなくなる。こんな不毛な状態は作中の犯人にさせておけばいいんです。


 だからこそ誤解を恐れずにいうならば、プロットから脱線し登場人物勝手に動いたからといって自由に行動させて話をさせたり、作者様自身が登場人物などにプロットから外れる行動や言動させることは、ミステリー作品においてはあちこちで嘘をついてまわっているのとあまり変わらないのではないかと私は思っています。


 もちろん比喩ひゆですよ? ただし本当に修正の嵐になっちゃいます。作者様自身で修正の手間を増やしてしまっているようなものです。


 とはいえ書いてる途中で、さらにトリックやギミックを良くできる方法を思いついたとか、犯人の動機がしっくりくるアイデアを思い付いたとか、そういうことであればプロットを変えてもいいと思います。


 これらはミステリーの中核だからです。


 読者様が一番楽しみにしている部分を良くできる方法を思いついているのに、使わないのはさすがにもったいないです。修正する手間がかかったとしても、やるだけの価値があると思います。ガチガチにプロットを固めておけばどこに問題がでるかも把握しやすいはずですから。


 拙作『同じ資格試験を12年間12回落ち続けた僕が異世界転生!? 偶然発見した魔法書と魔力操作を使って異世界バトルで成り上がる!』の4章『獣人の国編』でギミックを思いついてプロットでろくに検証せず、まぁいけるだろうって軽い気持ちでギミックを作品にいれました。そして何回読み直したか分からなくなるくらい矛盾してないか推敲し直したことがあります。


 それだけ推敲しても、どんな謎を読者様に提供したのか? そしてその謎やそこから発生した疑問にどういう答えをだしたのか? こんな基本的なことですら、思い付きであまり考えずにしてしまったため、分からなくなってしまったのです。


 4章の『獣人の国編』の中のどこに入れたかあやふやな謎や疑問を探し、どこに答え入れると良いか考えて書き加え、それが他の場面で矛盾してないかどうかを考えながらまた読み直す。


 軽い気持ちで登場人物に行動や発言をさせて作ってしまった謎や疑問の修正に、手間と時間がかかるのはなんとなくお分かり頂けますか? たぶんそこまでしても、私が気付かなかった矛盾はあるんだろうなぁと思ったりもしている現状です。


 一つの章の中だけのお話ですらこんな状態になってしまうのです。10万文字以上の作品であればもっと複雑になるでしょう。そんな修正の手間を発生させないために、プロットの段階で考えることは本当に大切なんです。他にも考えることはあると思いますが、それはプロの方が書いたミステリーの小説の書き方の本が売ってますので、興味のある方はそちらをご覧頂ければと思います。


 さて、以上を踏まえた上でここからはまとめです。


 プロットをゆるくして自由に書くのか? プロットをガチガチに固めて書いていくのか? という問題は、プロットのさじ加減を自分の書きやすいと思える程度に基本的にはゆるめておく。けれどもミステリーならガチガチにプロットを固めておくのがいいのではないかなと思います。


 この問題で大切になるのは、自分の作品が「イベント」「戦い」「恋愛」などの『出来事』『戦闘シーン』『感情の動き』を楽しんでもらう作品を書きたいのか? それとも【トリック】【ギミック】を重視した作品を書きたいのか? ということをプロットの段階でしっかり考えることだと思います。そして書きたい内容やジャンルによって使のが一番いいのではないかと私は思っています。


 でも、地の文や視点で読者様を勘違いさせ驚かせるのは、感情の動きを書いているようでいて実は【叙述トリック】というものにあたるそうですのでご注意を。筆者はミステリーの創作論の本を買って読むまで知りませんでした。


 と、ここまで書いてきましたがそういう考え方もあるんだね、と知っておくだけでもいいと思います。作品をプロットを使って書いたことがある方のほとんどは、今まで通り書いていいんだ、って思ったのではないかなと私は予想しています。


 私のお話した内容と真逆だったとしても、完結できるのであればそれでいいと思っているのも事実です。作品を書いていて試してみようかなと思ったときに、お試ししてみる感じでいいと思います。


 皆様が考えた上で自分の作品の方針を決めたならば、自分自身で作ったプロットを信じて、自信をもってひたすら書くだけです。どんな時だってそれが最善手なのは変わらないと私は思うからです。


 ではでは今回はこの辺で。何か作品作りの参考になれば幸いです。



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


 ここまで読んで頂いてありがとうございます! 


新作『雪が舞い散る冬の一夜の殺人は過去へとつながる物語』【完結保証】『東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞』応募作品

https://kakuyomu.jp/works/16817330659679000162


『異世界転生した俺は聖女になつかれる~立ちふさがる奴らを会話しながらぶっ飛ばす~』 【完結済】 第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト応募作品

https://kakuyomu.jp/works/16817330655708768799


『懸命に生きた君に』 【完結済】 カクヨムコン8中間選考通過作品

https://kakuyomu.jp/works/16817330650393975394


『同じ資格試験を12年間12回落ち続けた僕が異世界転生!? 偶然発見した魔法書と魔力操作を使って異世界バトルで成り上がる!』 【完結済】

https://kakuyomu.jp/works/16817139557347866886


 気になった方は読んで頂けたら幸いです。

 よろしくお願いします。 

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