Sid.19 彼女が幼女の世話をする

 乃愛は菅沢と一緒に寝る選択をしたようだ。俺じゃないってのが。

 こっそり俺に耳打ちする菅沢だけど。


「ママが恋しいんだと思う」


 そう言うことも当然あるだろう。でも、母さんと一緒に寝る、とは言わないな。


「それは、あの」


 たぶんだけど、胸の大きさもあるのではと。まあ確かに吸い応えはありそうだ。想像以上に巨乳だったわけだし。あれを今後この手で、とか思うと無駄に反応を示す。


「横倉君は今度必ずね」


 期待させてくれるよ。いつになるか不明だけどな。って言うか俺の思考が丸分かりって奴か。それはそれで素直に喜んでいいのか、クールに気取ればいいのか、どう返せばいいのか分からん。

 童貞って、こういう時、情けないなあ。経験豊富なら狼狽えもしないんだろう。


 菅沢と乃愛におやすみ、とあいさつを済ませ自室へ向かう。

 階段を上がろうとしたら母さんが「しないの?」じゃねえっての。傍に乃愛が居て何をするって言うのか。


「乃愛が居るんだぞ」

「性教育」

「はええんだよ」


 四歳児に何を仕込むつもりだよ。常軌を逸してると思わないのか?


「こうやって生まれたんだよ、って教えれば?」


 アホすぎて言葉も出ない。妙な寝言を噛ます母さんを放置し、さっさと自室で寝ることに。

 久しぶりにひとりで寝られるのと、おねしょの心配がない。濡れ感たっぷりのお目覚めが無いってのはいいな。乃愛はまだ結構な確率でおねしょするし。

 そうか、明日は菅沢がおねしょの洗礼を浴びる日だ。


 ベッドに横になり目覚めると朝。

 さっさと起きて身支度を整え、リビングへ行くと「あ、丁度良かった」と母さんに言われる。


「おねしょの後処理」

「なんで?」

「あんたが一番慣れてる」

「じゃなくて」


 問答無用でシーツやパジャマの洗濯、布団干しが待ってると、すべて丸ごと押し付けられた。

 已む無く菅沢と乃愛が泊まった部屋に行くと、下半身丸出しの乃愛と、同じく下半身丸出しの菅沢が居る。なんで?


「あ、横倉く……」


 自分の姿に気付いたようだけど、慌てて「あたしじゃなくて」とか言ってる。

 それは分かってるんだが、なんで下半身丸出しなのか、だ。つい視線が固定されてしまうだろ。


「あのさ」

「あの、お風呂、借りていいかな?」

「いいけど、その格好で?」

「タオル巻いて」


 いや、それで廊下に出て万が一、父さんと対面したら朝から卒倒するぞ。女子高生のエロい姿なんて、現役時代を最後に見て無いだろうし。父さんと言えど股間が暴発しかねない。


「タオルじゃなくてスカート履いた方がいい」

「あ、そうだね」


 その後、スカートを履いた菅沢と、丸出しの乃愛が風呂に入って行った。まあ、乃愛に欲情する変態はこの家に居ないからな。全裸で走り回っても支障はない。

 俺なんか毎日のように見てるし。何も感じないからノーマル、と自認できる。

 ふたりの居なくなった部屋。仕方なくシーツを引っぺがして、布団はあとで外に干すとして、他に洗濯物。


「これは」


 布団の上に放置された菅沢のパンツ。小さいなあ。これでよくも、あのでかいケツが収まるものだ。なんて思って広げたら伸びる伸びる。すげえ。

 提灯ブルマのような乃愛のパンツも掴んで……びしょびしょ。着ていたパジャマもまとめて脱衣室へ持って行く。

 洗濯機に全部まとめて放り込む。あれ? 女物のパンツって、そのまま洗濯していいのか?

 一旦、放置し母さんに聞いてくるか。

 脱衣室をあとにしキッチンで作業中の母さんに聞く。


「女物のパンツって、そのままガラガラ回していいのか?」

「駄目に決まってるでしょ。デリケートなんだから」

「じゃあ、洗濯ネット?」

「ちゃんと入れて他の洗濯物と絡まないようにね」


 母さんのパンツなんて見る気も無いけど、時々洗濯籠に見えてて、ネットに入ってたんだよな。それに気付いて無かったら、洗濯機に放り込んでガラガラしてたと思う。多少でも女親のお陰で気遣えるってか。

 脱衣室に戻ると。


「あ」

「お」


 またしても鉢合わせ。しかも全裸だし。乃愛と違ってしっかり反応するし、そうなると乃愛が面白がって、股間をぽんぽんするし。怒るな、と言われてるから怒れない。でも、そのままってのもまずいだろ。


「乃愛」

「ぱぱ、これなあに?」

「いつも見てる奴だ」

「こんなのじゃないよ」


 当然だ。フルの状態になんて乃愛を前になったことは無い。菅沢を見ると顔を真っ赤にして俯いてるし。その前に隠すとか無いのか? 隅々まで舐めるように見ちゃうだろ。


「出た方がいいか?」

「あ、でも用事」

「洗濯機を回すだけだ」

「じゃあ」


 どうぞ、だそうだ。すぐ傍に魅惑の姿態。猛烈に手を出したい衝動もあるけど、乃愛が居るから不埒な真似はできないし。蛇の生殺しって、こういうことを言うんだろうか。

 さっきから遠慮がねえ奴が居る。


「乃愛」

「ぱぁぱのちんちなの?」

「そうだ」

「いつもとちがうよ」


 こら、出そうとするな。幸い下はジーンズだから、乃愛では脱がすのは不可能。下げることもままならず、いろいろ試してるけど無駄な足掻きだ。

 でも、きっついんだよなあ。出したら楽だけど。

 洗濯機を回し脱衣室をあとにするが、乃愛の奴、付いて来ようとして菅沢に引き留められてるし。


 再び寝泊まりしてた部屋に行き、布団を担いで外に干しておく。

 作業を終えてリビングに行くと、母さんが「いいもの見れた?」とか言ってるし。


「手は出なかったの?」

「出せるかっての」

「出せばいいでしょ」

「乃愛が居るっての」


 気にしすぎだと。少々の行為くらい見せても支障はない、じゃねえ。母さんは俺に何をさせたいんだよ。

 父さんがリビングに来ると「ふたりは?」と。


「たぶん部屋に居るんじゃないか」

「恒例のおねしょか」

「俺が片付けたけどな」

「慣れたもんだな。俺でも苦戦したぞ」


 俺のおねしょの処理をしたこともある、とか自慢げに言ってるけど、そんなの時々だろ。ずっとやってる身にもなってくれ。


「お父さんは月に一回か二回でしょ。蒼太はおねしょの度にだからね。同列に語らない」

「そうか。蒼太の方が練度が上がってるんだな。乃愛を迎え入れる上で問題無いな」


 暫くすると二人がリビングに来て、全員揃ったところで朝飯になった。

 食後に少し乃愛の相手をする菅沢が居て、すっかり取られた感があるけど。それでも午前中遊んだら帰るようだ。

 洗濯物が生乾きだから、後日遊びに来た時に持ち帰る。

 下着を俺が手にした感想を求められたけど。


「下着より中身だな」

「なんか、見せちゃった」

「見られた、じゃないのか?」

「意外と冷静だったから」


 魅力無いのかと思ったらしい。そうなると余計に見せ付けたくなったと。股間が反応を示していたようで、意識はしてくれていたと理解できたらしい。


「次は、ね」


 積極的だよなあ。次に持ち越しになったけど、焦ってもいいことは無いし。

 玄関先で、と思ったが乃愛の手を引いて、近所の公園まで見送ることに。


「今日は途中まで来てくれるんだ」

「まあ、それなりに気になる存在だし」

「そう思ってくれると少しはね、嬉しいかも」

「かえっちゃうのぉ?」


 乃愛もお別れが寂しく感じるのか。

 聞けば、昨晩は乃愛にしっかり吸われたそうだ。


「甘えてきてね、ずっと」

「そうだったんだ」

「男の人だと、無いからかなあ」


 それもあって股間に執着してたとか。いや、それは無いな。単に好きモノって奴かもしれん。

 ただ、やっぱり母親の存在も必要なんだよな。あんなクソみたいな奴でも、乃愛にとっては掛け替えのない親なんだよ。つくづく無責任だ。

 公園の前に来ると手を振り別れる。乃愛も精一杯手を振ってたな。


「ママ、って呼んでくれたら、もっと良かったんだけど」

「俺は早々に呼ばれたけどな」

「そこは羨ましいな」


 また週末に来るそうだ。後ろ姿を見送るが左右に良く揺れるケツ。生で見たんだよなあ。次こそ、なんて思うけど。


 家裁から来所通知が来た。

 申請して二週間以上掛かり、やっと進展するようだ。

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