電脳戦機 エレクロウォーリアー

山ピー

第1話戦士、起動

高校生、有川 秀人(ありかわ しゅうと)は教室の隅の席で本を読んでいた。

夏休みが明けたばかりのまだ暑い日だった。

秀人は科学が大好きで科学本を読んでいたが、そこに声を掛けて来た奴がいた。

「おーい、陰キャマスター!たまには皆で遊ぼうぜ!」

そう絡んで来たのは同じクラスの真島 健太(まじま けんた)だった。

陰キャマスターって何だよ……。

そう思いながら秀人は真島の方に目をやった。

「僕はいいよ。今読んでる本が面白い所だから」

「ったく、またそんな小難しい本読んでんのかよ。よく飽きないねぇ」

「真島だったら2秒で寝ちまうよな」

真島の友達がからかった。

「うるせー!……んじゃな!陰キャマスター!」

だから陰キャマスターって何だよ……。

秀人はまたそう思った。

陰キャマスター……。

秀人は真島から不名誉なあだ名を付けられていた。

「フッ……まぁいいさ。もうすぐアレが完成するんだから……」

そこにまた声を掛ける人物が。

「有川君!」

「うわっ!?」

「ちょっとそんなにびっくりするってどんだけ集中して読んでんのよ……」

声を掛けて来たのは同じクラスの森山 玲奈(もりやま れいな)だった。

「も、森山さん……何?」

「有川君もたまには言い返しなよ。真島にあんなあだ名付けられて悔しくないの?」

「そりゃあ……気に入ってはないけど……僕、確かに陰キャだし……人と話すのあんまり得意じゃないし……」

「私とは普通に話してるじゃん?」

「いや、それは……話し掛けられたら話すけど、自分から話し掛けるのが得意じゃないってゆうか……」

「ふ〜ん……まっ、良いけどさ……とにかく今度真島に何か言われたらガツンと言い返してやりな!じゃないとあのバカまた調子に乗るよ。じゃあね」

そう言うと玲奈は去って行った。


放課後……。

秀人は学校帰りに機械のパーツを安く売ってるジャンクショップに寄っていた。

「え〜っと……あと必要なのは……」

秀人は買い物を終え急いで家に帰った。


家に帰るとダイニングのテーブルに夕飯と母親からの置き手紙があった。

秀人の母親は看護師をしていて病院に勤務している。

今日は夜勤で夜居ないらしい。

「よし、母さん居ないなら時間を気にせずアレを作れるぞ!」

秀人が言うアレとは?

秀人はノートパソコンと、先程買った機械のパーツを持って自転車で出掛けた。

自宅のマンションから自転車で10分程走った場所に寂れた廃工場があった。

秀人はそこをまるで秘密基地の様に使い何年も掛けてある物を制作していた。

秀人はノートパソコンを起動させ、早速制作の続きに取り掛かる。

パソコンの設計図通りに買ってきたパーツを組み込み、機械部分を接続する秀人。

科学好きな秀人にとってはこの程度の事はもう何年もやっている慣れた作業だった。

母親が夜勤で居ない為、何時間もその作業に没頭した。

「ふぅ〜」

一息つこうと作業を辞め、ふとスマホを見る。

「ゲッ!?もう9時過ぎてんじゃん!?どうりで腹減った訳だ……今日は帰るか……」

3時間程作業に没頭していた為、急いで帰る事に。

家に帰ると夕食を済ませ宿題に取り掛かる。

基本的に頭のいい秀人は宿題にはそこまで時間は掛からずに済ませた。


翌日、今日も学校に行く秀人。

秀人は自転車で学校に通っている。

そこに後ろから……。

「よっ!陰キャマスター!」

同じく自転車で登校している真島が声を掛け先に走って行った。

「ったく……」

秀人は文句を言いながらも到着し教室に向かう。

秀人は早速席に座りまた科学の本を読み始める。

その頃、真島が廊下を友人達と歩いていると……。

前からやって来るのは学校一不良、品川 涼介(しながら りょうすけ)だ。

「どけや」

品川は真島の方を睨み付けた。

「ゲッ、品川だ……」

真島の友人の一人が呟く。

「はっ、はい!失礼しました!」

真島は直ぐに道を空ける。

それに続く様に真島の友人達も道を空ける。

品川はそのまま進むと、秀人達のクラスにやって来た。

品川の登場にどよめき出す教室。

「おい、有川秀人って奴居るか?」

「はっ、はい……」

品川にビビった男子生徒の一人が秀人を教える。

「おい、有川……顔貸せや」

なんで品川君が僕なんかに!?

そう思いながら恐る恐る席を立つ秀人。

「お前、今日から俺のパシリな」

「え?」

「昼休みになったら焼きそばパンとコーラ買って来い」

「えっ!?何で俺が……」

「昨日までパシってた奴が入院しちまってよ。代わりのパシリをな」

それって品川君が病院送りにしたんじゃ……。

そう思いながらも断る事は出来ずパシリに強制認定されてしまった秀人。

パシリとして購買で焼きそばパンとコーラを買って品川のクラスまで持って行く秀人。

「はい、品川君お待たせ」

「チッ、これじゃねーよ!!」

品川は何故かキレて焼きそばパンを秀人に投げ付ける。

「うわっ!?な、何で?焼きそばパンとコーラだよね?」

「焼きそばパンはコンビニのだバカ野郎!!」

「コンビニ!?で、でも……昼休みは校内なら出ちゃ行けないし……」

「ああ?テメェ、俺に逆らう気か?」

「いや、そんな……」

品川は秀人を校舎裏に連行し暴行を加える。

「次間違えんじゃねぇぞ!!」

そう言って品川は去って行った。

「クソッ……」

品川の暴行による怪我をしながらも放課後には廃工場に向かって制作を続ける秀人。


その頃、品川は不良仲間とたむろしていた。

そこに一台のベンツが到着。

品川達は立ち上がり頭を下げる。

そして降りてきた人物は……。

「よぉ、品川ぁ……」

黒竜会幹部、広瀬修三郎(ひろせ しゅうざぶろう)通称サブと呼ばれるヤクザだ。

「お疲れ様です!!」

品川が唯一頭の上がらない人物だ。

「今日はデカい取り引きがあってな……良いもんが手に入ったからお前らにも分けてやるよ」

「あの……それってヤクっすか?」

「いやぁ、そんな代物じゃねぇ……コイツはな……人間を神の領域にまで進化させるすげぇアイテムだ」

そう言って品川に渡したのはクモのマークの入ったカプセル。

「あの……やっぱりヤクじゃ?」

「確かに飲み薬ではあるが、そいつは人間を超人に変える力があるらしいぜ?」

「はぁ」

「まっ、明日試してみな」

そう言ってサブは車に戻って去って行った。

「品川……どうする?」

不良仲間が聞くと。

「面白ぇじゃねーか……試してみようぜ」


その頃、秀人は……。

「やった……遂に完成だ!!」

秀人がずっと制作していた物が遂に完成したようだ。

それはロボットの様な人型の鉄の塊。

「名付けて、電脳戦機エレクトロウォーリアー……」

しかし、それはロボットではなく人間が装着して超パワーを発揮出来るパワードスーツ。

秀人は早速装着している。

エレクトロウォーリアーは音声で動きを指示出来る様にプラグラムされている。

「よーし、飛べ!」

すると、エレクトロウォーリアーの背中に装備されたブースターが起動し上に飛ぶ。

だが、屋根を突き破り高く飛び過ぎてしまった。

「あちゃ〜飛び過ぎ飛び過ぎ……降りて降りて」

今度は物凄い勢いで落下。

「中々コントロール難しいな……まぁいいや。

走って行こう」

エレクトロウォーリアーの足の裏には小さなタイヤが付いていて地上を走って進む事も出来る。

速さは原付バイクと同じ位だが、使い勝手は良い様だ。

しばらくエレクトロウォーリアーの試運転をしていると少し離れた場所で爆発が起きた。

「何だ?行ってみるか」

エレクトロウォーリアーが向かってみるとクモの怪物が人々を襲って暴れていた。

車が燃えていた為、さっきの爆発はこの車の様だ。

「何だアイツは!?」

すると品川の不良仲間達も逃げ惑いパニックになっていた。

エレクトロウォーリアーが彼らに近付く。

「ねぇ、どうしたの?」

「うわぁぁぁっ!?」

突然現れたエレクトロウォーリアーにビックリする不良達。

「あっ、ごめんごめん……一体何が起きたのか聞きたいだけなんだ」

「何だお前……俺達のダチが変な薬飲んであのクモの怪物になっちまったんだよ!!」

「何だって!?よし、任せて」

秀人はクモの怪物と戦う事を決意する。

「こんな時の為にエレクトロウォーリアーを作ったんだ……行くぞ」

エレクトロウォーリアーがクモの怪物に向かう。

「何だ?お前は……」

「エレクトロウォーリアー……君を止めに来た」

エレクトロウォーリアーの初陣、果たして……。


続く……。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

電脳戦機 エレクロウォーリアー 山ピー @TAKA4414

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る