(三)-2

 松ヶ浦伊之助は自分の倍近くを生きるやり手だ。その強引なやり口で、自身が興した会社を一代で財閥とも言えるほど、他分野への進出や拡大を続けてきた。重戦車並みの松ヶ浦のやり口は、高齢になっても変わっていないどころか、特に県議会議員として活動を通じてさらに悪辣にもなっていっている趣すらあった。

 当然商売敵に対するやり方も当たりが強いものだった。だからもしも彼に記者と会ったことがバレたら、電話がかかってきてもそんな優しい質問などせず、大声で怒鳴って罵って、恫喝してくるに違いない。


(続く)

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