84日目 期末テスト

 7月1日、修平は期末テストの最終科目である数学のテストに挑んでいた。計算問題を解いた後、文章題に取り掛かった。

「『男子6人、女子3人で、女子が隣り合わない並び方は何通りか求めよ』か。美織に教えてもらったのと同じ問題だな。」

 修平は美織に感謝しつつ、解答を書き込んでいった。解答をかきつつ、男子と女子、ヒロはどっちに入るんだろう。と疑問が浮かんできた。生物学的には男子だけど、見た目女子だしな。そんなことに気を取られていると、時間が経っていたたので、修平はあわてて計算の続きを始めた。

 試験終了のチャイムがなり、解答用紙を提出した。いつもは半分くらい空白の解答用紙だが、今回は全部の問題に答えを書き込んだ。正解かどうかはまだわからないが、書き込めただけでも満足感がある。

 

 テストの全科目も終了し今日から再開となる部活に備えて、昼ご飯を食べるためヒロと学食へと向かった。

「ヒロ、いつも通りかつ丼でいいか?ヒロのおかげで、今回もテスト乗り切れたから奢るよ。」

「修ちゃん、ありがとう。それでテストどうだったの?」

「過去最高に手ごたえがあった。ヒロに教えてもらったおかげだよ。」

 修平がテストの報告をすると、ヒロは嬉しそうな表情をみせた。


「修ちゃん、いつもかつ丼おごってもらって悪いね。」

「ヒロからはお弁当も作ってもらってるし、勉強も教えてもらっているのに、かつ丼ぐらいしかお返しできなくて、ごめんな。」

「それだったら、今度またデートしてくれない?今度夏祭りがあるでしょ。それに行きたいな。」

「いいよ。もともと行くつもりだったし。」

 ヒロは、19日にある夏祭りに修平を誘ってきた。もともと、クラスか部活の友達を誘っていくつもりだったので、今年はヒロと行くことにした。


 昼ごはんも食べ終わり、修平はヒロと別れて部活のために体育館に向かった。着替えが終わって、部活の準備をはじめたとき美織から声をかけられた。

「大森君、テストどうだった?」

「あっているかどうかわからないけど、とりあえず解答欄は埋めたよ。」

「教えたかいはあったみたいね。それじゃ、お礼ということでこの後練習につきあってよ。」

「まあ、いいけど。」

 修平は美織の練習に付き合うことにした。今回のように美織には、ときどき練習に付き合っているので、ヒロのような負い目は感じない。


 部活を終えた修平は、いつものように待っていてくれたヒロのもとへ駆け寄った。

「ヒロ、おまたせ。」

「久しぶりの部活だと疲れるね。」

「そうだな。暑くなってきて、汗だくだよ。」

「卓球部は大変そうだね。風がはいるから、窓閉めて練習してるんでしょ。熱中症に気を付けてね。」

「ヒロは優しいな。」

「それよりも、夏祭り楽しみだね。修ちゃんと行くなら浴衣買おうかな。」

 無邪気にはしゃぐヒロをみていると、修平も夏祭りが楽しみになってきた。


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