18日目 学食

 4月26日の朝、修平は登校中に一緒に歩いているヒロに話しかけた。

「ヒロ、昼ごはん学食に一緒に行かない?お弁当のお礼に奢るよ。」

「ありがとう。弁当のことは気にしなくてもいいけど、修ちゃんがもらってばかりで気になるなら、たまには奢ってもらおうかな。」

 最近、クラスのほかの男子に学食に誘っても断られる。みんなは、修平がヒロと付き合っているのに、みんなの憧れの片桐さんとも仲良くしているのが気に食わないようで冷たくされる。

 昨日もゲームの話題で片桐さんと盛り上がっていたので、誰も一緒に学食に行ってくれないだろう。にぎやかな学食の中で一人で食べるのもむなしいので、ヒロを誘って一緒に食べることにした。


 昼休み、おなかをすかした修平はヒロと一緒に学食に向かい、学食の入り口にある券売機の前に着くと、お金をいれて、

「ほら、ヒロ好きなもの選んでいいよ。」

 ヒロの事だから、遠慮してうどんあたりを選ぶだろうと思っていたら、ヒロはかつ丼のボタンを押した。

「ありがとう。」

 にっこり微笑んで、かつ丼の食券を手に取った。修平は、ラーメンとごはんの食券を購入して、学食の中に入っていた。


「いただきます。修ちゃんありがとうね。」

 ヒロは美味しそうにかつ丼をカツを口に入れた。見た目カワイイ女の子が、かつ丼をがっついて食べているギャップに驚く。

「ヒロ、胃袋は男子なんだな。」

 修平は、ラーメンにのっていた薄いチャーシューを、ご飯にのせ醤油をかけた。ラーメンとごはん、炭水化物の組み合わせだが、これが満腹だけを考えた場合コスパがいい。

「そうだよ。体は男だもん。でも、体重は気にしているから夕ご飯減らすよ。ひょっとして修ちゃんは、ぽっちゃりの方が好みだったりする?」

「いや、どちらかといえばほっそりした方が好きだけど、無理はするなよ。おいしそうに食べているヒロが好きだよ。」

「ありがとう。無理はしないようにするよ。ところで、モンバトだけど、次はどこに行こうか?『デビル・キャット』にする?」

「『デビル・キャット』もいいけど、『ギガース』もいいかもな。短時間クリアボーナスのアイテムも欲しいしな。」

 そんなゲームの話題で盛り上がりながら、昼ご飯を食べた。やっぱり楽しい会話をしながら食べるご飯は美味しい。


 教室に戻ると、修平の隣の席の菊池がうなだれていた。

「どうした、菊池悪いものでも食べたか?」

 修平が声をかけても菊池からの返事がなく、うなだれたままだった。近くにいた山崎に事情をきいた。

「片桐さんもモンバトやってるって、昨日大森たちと話していただろ。それで、菊池が片桐さんに一緒にやろうって声かけて、断られて落ち込んでいる。」

「大森、どうやって片桐さんと仲良くなったんだよ。」

「わかんないよ。片桐さんと話していた時、話の流れでモンバトやってるって言ったら、一緒にやろうって言われた。」

 本当はヒロつながりと言いたいところだったが、ヒロが他の男子と仲良くするのも嫌だし、片桐さんとゲームできる特権を他の男子に与えるのも嫌だったので内緒にした。

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