第11話 冷たい空間


『友達とは仲良く』


『命は大事に』


『あいさつで心を繋ごう』




 結局、少年にはこのふしだらなキャッチコピーは理解出来ず、意味不明なことが多かった。


 偽善的な桃色のペンキで描かれたメッセッジーは理解を超え、少年の肩苦しさを威圧的に食い込むのだ。


 廊下というコピー機の残骸のような場所で立ちすくむと、少年は今さらながら己という存在の希薄さを感じ取った。


 結局、影が影を呼んでここの冷たい空間を味わうんだ、と。

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