呪イ呪ワレ君ガタメ

@kaiware11

第1話

僕は、立花育人。これは僕の過ちから始まった話


「あの刀に触っちゃいけないよ」そう教えられて育ってきた。いつもその刀は仏壇がある畳部屋の薄暗い場所で佇んでいた。「あの刀はね。触ると大切な人に二度と会えなくなっちゃうんよ」そう僕は小さい頃から教えられてきた。

 

小学生の夏休み僕は幼馴染の桜と家で遊んでいた。当時イタズラ好きだった僕はその日も桜にイタズラを仕掛けて遊んでいた。

『ピトッ』と桜の首筋にカエルを乗せてケラケラ笑う僕を桜はいつも泣きそうな顔で「育人のバカ!大嫌いっ!」と言いながら追いかけてくる。

ひとしきり笑いムスッ当時する桜に「いいもの見せてあげようか?」とまたニヤニヤしながら聞くと桜は「またイタズラする気でしょ」とそっぽを向いてしまう。

「ばっかちげえよ!こっち来てみ」と僕は言うと仏壇のある畳部屋の薄暗い一角にある刀を指差して「あれさ触ってみようぜ!」と僕は縁側から部屋に上がり刀を触ろうとする。


桜は「やめなよ...なんか気持ち悪いよぅ」とまた泣きそうになりながら僕の服の裾を引っ張った。

「大丈夫!大丈夫!」そういい僕は刀を手に取ろうとするがもちあがらない。「ふぎぎッ」と踏ん張って持ち上げようとした時だ。「なにしてるッ!」と外からおじいちゃんの声が聞こえた瞬間だ。『スパン』と言う音と共に刀が鞘から抜けて畳に突き刺さった。


僕はほっぺたを少し切ったようで「痛いー!」と大声を上げなが血が流れるほっぺたを手で抑えた。

じいちゃんは青ざめた顔で「大丈夫か?」と刀を畳から抜き鞘に閉まってから焦りながら僕の方に来て切り口を手当てしてくれた。

その間桜は腰が抜けたようでずっと放心状態みたいだった。


おじいちゃんは「桜ちゃん怖い思いさせたね。今日はおじいちゃんが送るからお家へ帰ろう」とおじいちゃんが背負って家まで送り届けて行った。

夕食の時僕はゲンコツとお説教で大泣きしていた。おじいちゃんは「あれほど触るなと言ったのに」と本気で怒っていた。僕は「ごめんなさい」しか言えずゲンコツとほっぺたの切り傷のせいで寝れない夜を過ごしていた。


その夜だった。怖い夢を見た。そこは一面水溜まりのようなところに一人の女の子がいた。その子はずっとこちらを見ながら「欲しいなあ...欲しいなあ…君が…欲しいなあ…」と呟いている。

僕は喋ることも動くこともできないままずっとその子の方を見ていた。

女の子は「繋がった…繋がった…君が欲しい…君が欲しい…」そう呟いて少しずつ近づいてくる。僕は怖くなって「やめて!来ないで!」そう叫んだ瞬間目が覚めた。

その日以降この夢を見ることはなかった。


桜は引っ越してしまった。父親の急な転勤らしいお別れさえも言う暇はなかった。

僕は、そこからびっくりするくらい人付き合いが下手になった今まで友達だった子もみんな疎遠になった。

駆け抜けるような中学校生活を送った僕は家から一番近い高校へと進学した。

クラスを確認し自分の席に着く。クラスを見回すとそこには何年も前に引っ越した桜の姿があった。

桜を見るのは何年ぶりだろう。そこには昔のちんちくりんではなく少し大人っぽくなった桜が。


しかし僕は、桜に話かけることができず放課後になった。

いそいそと靴箱で帰り支度をしている時だ。後ろから「やっほー育人!」と桜が話しかけてきた。

僕は久々に桜に会えた嬉しさと学校で喋りかけられた嬉しさもあり少し泣いてしまった。

桜は不思議そうにこちらを眺めると「大丈夫?一緒に帰ろーよ!」と言ってくれた。


帰りの道中は桜が引っ越した後のことを主に話していたと思う。思うと言うのはこの後桜にほっぺたを赤らめて言われたことで頭が舞い上がっていたからだと思う。

「ねえ、育人ひさしぶりに家に行ってもいいかな?」と手を軽く握られて僕の頭はパンク寸前だったと思う。

そこから少し歩いて僕の家に着いた時に「懐かしいね!」と言いながら縁側から家に上がって行く。

その時僕は少し変な予感を覚えた。桜は薄暗い一角に置いてあった刀を持ち上げると「ホシイナア…ホシイナア…キミガホシイ…キミガホシイ…ヤットカエッテコレタ…」とあの時夢の中で小さい女の子が呟いていた言葉を繰り返し呟いている。


僕は腰を抜かし後ざすりをする。「助けて…」そう桜の声が聞こえた時僕は刀に向かってダイブしていた。

ダイブした瞬間左手首に鋭い痛みが走るがなんとか桜から刀を奪った。

左手首が燃えるように熱い。「桜!大丈夫か?」と桜をの方を見た時桜の後ろには気持ちの悪い動きをする影のようなものが黒い糸のようなもので繋がっていた。


僕は何故かなんの躊躇も無く桜と影を繋ぐ黒い糸を刀で切った。その瞬間桜はまるで糸が切れた操り人形みたいにその場に倒れた。


僕は駆け寄って「桜!桜!大丈夫か!?」と声をかけ続け息がある事に安堵した僕に異変がある事に気づいた間違いなくそこにある自分の左手首より先の感覚が一切ない動かないのだ。

「美味しかったよ君の手次は何処をくれるのかな?」嬉しそうにそう耳元で囁く女の子のような声を聞いた瞬間僕は意識が途切れた。



2話にツヅク

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