#02 詐欺師にされる

 兎に角、


 タイムマシンを完成させたいと心底願っていた僕は研究に没頭した。


 お金の心配をする事もなく、たやすく没頭出来た。


 無論、彼のおかげで、だ。


 そしてタイムマシンの完成も近づき、そろそろ時間旅行の実験という段階で……、


 僕は、研究室に、いきなり乱暴に踏み込んできた警察によって逮捕されてしまう。


 罪状は詐欺罪。詐欺だッ!


 僕にとっては、寝耳に水。


 詐欺など働いた覚えはない。どれだけ考えてもだ。


 あの日の事は今でも忘れられない。


 研究の合間、休憩時間にソファーに腰掛けて温かいお茶をすすっていた。その時、研究所の玄関が乱暴に開けられ、刑事とおぼしき人物と複数人の制服警官がなだれ込んできた。僕は、なに事だ? と呆気にとられ、アホみたいに大口を開けた。


 そうして、彼らは僕を取り囲んでから、リーダーであろう刑事が逮捕状を示した。


 しかっと真っ正面に、だ。


「お前はタイムマシンなどという出来もしないもので金品を奪い取っているんだろう? 間違いないか? そういった通報あったんだ。もちろん裏もとってある」


 なんて言われてしまって……、ちょっと待ってくれとも言わせてもらえずに……。


 一体、なにが起こったのか、まったく理解できず、ゆっくりとガラステーブルにお茶の入った湯飲みを置く事くらいしかできなかったよ。理解できない事が起こると頭が真っ白になるというのは本当だ。とにかく何も考えられなかった。


 まさか、彼がなんて、露ほどにも思わなかったよ。


 今回の、いきなりの逮捕劇に一役買っているのが彼だったなんてね?


 まあ、ハメられたわけだ。


 単純に。


 逮捕されたあと懲役3年と裁判所から判決が出た。


 3年という時間は苦しく長かった。しかも僕みたいな研究畑の理系人間は刑務所という特殊な環境には馴染めなかった。むしろ刑務所生活は拷問以外の、なにものでもなかった。何度、隠れて泣いたか。いい大人がだ。それほど追い詰められたわけだ。


 だから、


 僕は、お返しとして、お礼参りを決意したワケだ。


 それだけが刑期を無事に終える為の支えとなった。


 僕をハメた犯人は分かっている。


 やつだ。


 間違いない。絶対に許さないッ!

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