第6話 森生活での成果

 

 みなさん、こんにちはヒナタです。


 私は洞窟を彷徨い、大蛇を討伐してなんとか森へと辿り着き早2ヶ月が経過しようとしています。

 え? なんで森に2ヶ月もいるのかって? 理由は2つあります。


 1つ目は、街道がなかなか見つからなかったからです。実にシンプルですね。結構この森は広いみたいです。

 2つ目は、森が広いだけでなく、魔物がたくさんいるからです。いや、本当に大変ですよ。


 最初の頃なんていきなりゴブリンの群れに遭遇して攫われそうになるし。

 やっぱりあれか。ゴブリンは人間の女の身体を使って繁殖するのかな。

 とにかく、ゴブリンの目つきがいやらしくて不愉快でエアショットだけで全滅させましたよ。

 弱い個体だけの集まりで助かりました。

 倒したゴブリンに強奪スキルを使ったけど何も得られないし。

 なんなんだよあいつら。滅びろ。


 次に遭遇したのは、体長1メートルくらいの身体を岩で覆ったネズミみたいな魔物でした。

 大蛇の鱗並みに頑丈で攻撃が効かなかったので、水魔法で大きな水球を救ってネズミさんを窒息させました。

 体長が小さい魔物には便利な使い方でしたね。この魔物のおかげで土魔法が使えるようになりました。


 土魔法が使えるようになって、最初はアースウォールという土の防御壁を作ったり、エアショットの土魔法バージョンにしたロックショットという土を圧縮して弾丸状にした新たに攻撃魔法も使えるようになった。

 そんな時にふと思ったのが、土魔法で家とか作れないかと思っちゃったんですよね。


 思いついたら吉日。

 早速やってみようと家をイメージして土魔法を使ってみたら、見事に魔力枯渇で倒れました。

 そりゃそうか、今までと規模が違うもんね。

 そこで家を建てるために、魔物を狩りまくりました。

 とはいっても一番の目的の街道に出ることは忘れていませんよ。ほんとだよ。


 そんなこんなで家を建てることに成功しました。一階建ての1LDKです。これくらいが限界でした。

 私の部屋には布団も作りました。

 魔物を狩っているときに見つけたニワトリみたいなのがいたので羽根を拝借して羽毛布団にしました。

 お肉は美味しく頂きました。

 あと、一番時間をかけたのはお風呂です。

 前世はおっさんでしたが、綺麗好きではあったので身体を綺麗にしたくてお風呂を作りました。

 3人くらいが足を伸ばしてもゆったりできるくらいに広いです。

 いつか、かわいい女の子と一緒に入りたいもんですね。

 おい、誰が犯罪だって? 私は女だぞ。

 私によこしまな考えがなければなんの問題もないはずだ。


 あと女性に転生したことで弊害もあります。

 それは月に一度訪れるアレです。めっちゃしんどいです。

 男だった時は経験することがないから大したことないだろう、と思っていましたが経験して分かります。

 女性は毎月この痛みに耐えていると思うと、前世でもう少し彼女を労るべきだったと反省しています。

 でもこれだけは言わせてください。森生活をしている私にはアレ用の痛みを柔げる薬もないので本当にしんどいんです。日本でも昔の女性はこの痛みに耐えていたと思うと尊敬します。

 薬でアレの辛さが消えるわけではないけど、間違いなくあった方が痛みを緩和できるはずなので今の私の方がしんどいはずです。

 これから毎月訪れると思うと少しだけ億劫になります。

 



 ということでこの2ヶ月の経過報告でした。

 ステータスもかなり上昇しました。


名前:ヒナタ

種族:人族

年齢:15歳

職業:魔法使い

HP :121/121(+43)

MP :265/265(+114)

スキル:水魔法LV5(+2)

    風魔法LV6(+3)

    火魔法LV5(+1)

    土魔法LV4

    無限収納

    威圧LV4(+2)

    毒霧LV1

    毒耐性LV3(+1)

    麻痺耐性LV2

    気配察知LV3

ユニークスキル:強奪


 魔物を倒すときは風魔法を多用していたので、風魔法のレベルが一番上がりました。

 たくさんの魔物を倒したのでスキルも増えました。

 何故か毒耐性も上がっていました。毒のある食材があったのかな。


 そろそろ街道に出て街を目指そうと思います。

 街道を見つけても家の内装を整えたくてなかなか街道に行きませんでした。ごめんなさい。

 早速、私の自慢の家を無限収納にしまい込んで街道に向かいます。

 街がある方向がわからないですが、迷っても道は全て繋がっているという前世での職場の上司からの教えに従い、街道沿いを歩いて行きます。


 魔物に遭遇するかもしれないので、気配察知スキルを使用しながら半日くらい歩いたところで、なんとテンプレ通りに豪華な馬車に盗賊が群がっていました。多分、貴族の方が乗っているんでしょうね。

 遠目から確認してみると、護衛の騎士の方が数人倒れているようなので、助太刀した方が良さそうですね。


「エアショット! ロックショット!」


 森での生活の成果です。

 二つも魔法を同時に発動させることができるんです。

 さらに土魔法で作った岩石弾ロックショットにはジャイロ回転を施したことで安定性も良くなり命中率がぐんと上がりました。


「ぐあ!」

「なんだ!? うわっ!」

「魔法使いだ! ぐふっ!」


 盗賊が次々と倒れていく。

 岩石弾ロックショットが当たった人は身体に風穴があいている。うわ、グロっ……。

 2人くらい生かしておけばいいかな。

 よく分からないけど、盗賊の残党がいるかもしれないから空気弾エアショットで気絶させておいた。

 それにしても、初めて人を殺したな。

 ずっと魔物相手だったから気にもしなかったけど、罪悪感も一切ない。

 悪人だからそんな感情も出てこないのかな。気が付いたら体が動いて助けちゃったからね。

 とりあえず、馬車に駆け寄り、護衛の方に話しかけた。


「大丈夫でしたか?」


 怪我をしているようだが、どうやら死人はいないようだ。

 どうやら間に合ったみたいで安心する。


「助けていただきありがとうございます。あの、冒険者の方ですか?」


 冒険者!?

 この世界にも冒険者がいるのか! これぞ王道! 楽しみになってきた!

 おっと、落ち着かないと。怪しい女性だと思われる。


「いえ、冒険者ではないです。道に迷って街道を頼りに進んでいただけです。」

「なるほど。すごい魔法を使っていましたのでつい……」


 あれ? 私の魔法って凄いの?

 これくらいのことは魔法使いなら普通にできると思っていたんだけど。

 この護衛の方はあまり魔法を見たことがないのかな。

 そう思うことにしよう。


「そんなことはありませんよ。それより、2名の盗賊は気絶させただけなので事情聴取とかをしたほうがいいと思います」


 よく異世界漫画であるのは、盗賊を装って貴族を襲うというものだ。

 今回のがどうかは分からないが、一応確認は必要だよね。

 

「ああ、そうだな。俺はお嬢様に事情を伝えてくる」

「おいお前ら! 動ける奴は気絶している盗賊を縛っておけ!」

「「「はい! 隊長!」」」


 この人隊長さんだったのか。

 私は護衛の方が盗賊を縛っているのを見ていると、一人の女性が近づいてきた。


「危ないところを助けていただいて感謝申し上げます。私はブルガルド伯爵家のサーシャ・ブルガルドと申します」


 私は目の前で挨拶をする女性を見て固まった。

 可愛すぎる。こんな可愛い女性初めて見た。

 日本にいたときにもここまで可愛い女性は見たことがない。

 どうしよう、緊張してきた。

 前世も含めて女性と接するのが久しぶりということもあるがヤバい。

 目が合ってる。心臓の音がうるさい。伯爵令嬢もこちらを見て首をかしげている。

 何か喋らないと。混乱しながらも、焦りながら口を開いた。





「結婚してください」

「え?」


 何言ってんだ私ーーーーーーーーーー!!!

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