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 ひと時の静寂

 嵐の前の静けさ?

 心の持ちよう一つ

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 なぎ


 これは国字こくじ

 すなわち日本で作られた漢字。


 うまい!


 一本取られた、座布団一枚上げたい!!


 本当に、うまくあらわしたものです、その状態を。 


 凪は、風の力を船の主たる推進力としていた昔には大いなる恐怖でした。

 今の今まで順風満帆じゅんぷうまんぱん、気持ちよく青い海を切るように進んでいたのに、気付けば大海のど真ん中。見渡す限り水平線だけで、ポツンと一人、世界に置いてけぼりを食らったかのよう。この漢字のように、閉じ込められたとも。

 

 孤独の恐怖、推して知るべし。


 静寂の底なのに。

 何もないのに。

 心がざわつく。

 落ち着かない。


 風が止まった時にさあ、どうするか。


 次の風を待つか。

 それとも、オールでも出して無理にでも漕ぎ出すか。


 心情的にはのんびり待ちたい。


 いずれ風は吹く、だったら焦らなくてもいい。

 これも天運、神様が休めとでもいっているのだ。

 静かな今こそ次に備える。

 それも決して悪くない。むしろ奨励しょうれいすべきかも。

 でも、ずっと風を受けて走っていたんです。

 ちょっと休むくらい、いいじゃないですか。


 ねえ?

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