飴玉

 先輩が飴玉を持ってきた。鞄の中が飴玉の袋だけでパンパンになってしまうほどたくさん。先輩が「消費するのを手伝ってくれ」と申し訳無さそうに言う。なんでも、人から貰ったはいいが貰いすぎてしまったのだと。もちろん、手伝うつもりでいたのだがあまりにも量が多すぎる。幸いにも、味もいろいろあって良かった。一つ食べて、二つめ、三つめ……。数十個食べても中々減らない飴玉の山。飴玉なんてものは噛むものではないから、食べるのに時間がかかる。もくもくと食べてるとだんだんお腹のあたりが変な感じがしてきた。空きっ腹に飴玉を詰め込んだせいで胃もたれしているのかも……。そう思うと今はもう食べる気にならなくなってしまった。ちらと先輩を見ると、先輩も心做しか辛そうな顔をしているような気がする。……絶対ご飯のあととかに食べたほうが良い。

「あの、今度は放課後じゃなくて昼休みに食べませんか」

「……そうだな」

 第一回飴玉消費会は飴玉に惨敗した、というわけで。次の私達がきっと飴玉を全部食べ尽くしてくれることでしょう。……なんて、できる気がしないけど、程々に未来の私達に期待しておくことにする。

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