金平糖

 やるよ、と言って無造作に渡されたのは小さな瓶だった。万年筆のインク瓶のような、小さくて四角いそれの中にぎっしりと金平糖が敷き詰められている。

「どうしたんですか、これ」

「んー……お土産?」

 くれた本人がいまいちよく分かっていなさそうなのは何故なのか。不思議に思いながらもお礼を伝えて、手の中におさまっている瓶を見る。何度見ても綺麗で可愛い。薄い紫色に黄色。桃色に青。白と緑、水色もある。たくさんの色が詰め込まれていているからずっと見ていても飽きないと思う。くるくると瓶を回しながら中を見ていると、先輩が笑っいているのが視界に入った。笑う要素なんてどこにもないだろうに。

 私の訝しげな目に気付いたのか、先輩は弾んだ声で言った。

「嬉しいなあって」

「……?」

 もらって嬉しいのは私のはずなのに、なんで先輩が嬉しいんだろう。よくわからない。へんなの。

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