第27話 連続投げチューして

「まぁ、何にせよ。アルマスは次はどこに行くんだろうなー」


「…………」


 さそいの洞窟に行って、そこからワープして次のエリアに行くんです! やっと姫の情報も集まってくるんですよー。


 と、言えたらどんなにいいか。


「エンウーや、占え」


「アルマスハ、サソイノドウクツニムカッタト、ボクノハネガウズイテイルコケ」


「…………」


 もう丸投げで、どうでもいいや的なその片言かたことやめーい。


「さそいの洞窟かー、段々と冒険っぽくなってきたなー!」


「……テイオスさん、本当に楽しんでますね」


「まぁなっ。ココちゃんは旅行商だからあちこち行ってると思うが、俺はビギニアから出た事ないからよー、新鮮な事ばっかりだ!」


「…………」


 夢見る少年のような、キラキラな笑顔、ごちになりまーす。


「そうだ! これから本格的な旅になるからっ、私、今度こそ武器と防具を揃えたいんです。お店に行ってもいいですか?」


「おうっ、そうだなっ。俺も買いたかったとこだっ」


「よかった、じゃあ行きましょうっ」


 と、武器・防具の店に向かったはいいけど、商人って武器とか何なの?

 今までバランスよく、戦士、魔法使い、僧侶とかしか、パーティ組んだ事ないから、商人って何を装備するかわからない。


 推しはわかるよ? 商人だけど武闘家だから、爪とかナックル的なものだよ。でも、私は? そして、巨大鶏は? ……ま、行けばわかるか。




 武器・防具の店。


『※「ここは武器と防具の店だ どんな用だ?」』


『かいにきた


 うりにきた


 やめる』


 買いに来たっと。


『かいにきた』


『※「どれに する?」』


『おしカチューシャ おしブラシ カンペうちわ トレカデコ』


「……」


 隣にいるエンウーをロボットのようにギギギッと見ると、同じように右を向いた。


「エンウーよ、こっちを向きたまえ」


「僕は今、寝違えて首が動かせないんだコケー」


「さっきこっちを見てたじゃろがい」


「たった今、寝違えたんだコケー」


「起きとるじゃろがーい! おーい! デカ鶏よぉ!」


 肩は掴めないから、エンウーのお腹を掴んだ。


「どう見てもヲタクをバカにしとるよなぁ!? しかも、何じゃ! どれも攻撃力も防御力もなさそうなもんばっかりじゃろがい!」


「ココちゃん」


「何でしょう!」


「このカンペ団扇って、何だろうな」


 推しは売られていた黒にピンクで『連続投げチューして』とある、カンペ団扇を見せた。


「それはー……。相手にしてほしい事が示してある団扇です」


 嘘は言っていない。アイドルや推しのコンサート会場などで掲げる、メッセージなどを書いた団扇だが、言ってもわからないだろう。


「じゃあ、これをココちゃんに向けると?」


「え……」


 推しが、私にカンペうちわのメッセージが書かれてある方を向けた。


 え……? 連続投げチューしろと?


「…………」


 意を決して、右手を唇に当て、チュッと音を立てて離し、手を推しに向けた。×2。


 ……とんでもない公開処刑だ!


「ぐおっ! おっさんのハートがやられたぁ!」


 心臓の位置を両手で押さえ、少し仰け反った推し。


「…………」


 ノリがよくてしょんどい。


 そして、これは、又と無いチャンスである。


「テイオスさん、私にも貸してください」


 推しからカンペうちわを手渡してもらい、メッセージ面を推しに向けた。


「投げキスなんて何十年ぶりだー? できっかなー」


 推しはピースサインをし、右手の人差し指と中指を閉じると、唇に当て離し、手を私に向けた。×2。


「…………」


 私はそのまま。


「ココちゃん!?」


 意識を手放した。



−−−−−−


 あとがき。


 続きが止まっていたのは、世界観を深めるために、ドラ◯エをやっていたから、とは言いません(もう言っている)


 でも、ドラ◯エをやるというのは、資料を読んでいたことに等しいので、サボっているとは言いません(それはサボりだ)

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