第15話

「アオイさん、この材料どこで買いました?!」


「ん? ロッドさんのとこだけど」


「僕も買い物に連れて行って下さい!」


用意された材料は、品質が揃っており、磨きも済んでいた。こんなに品質の良い品を見るのは初めてだ。絶対いい店だよ! 直接品揃えを見たい!


「今からみんなで行こうか?」


「やった! マイスとお買い物! 嬉しい!」


レナさん、尻尾パタパタしてますよ。キュビさんも飛び跳ねてるし……ってあれ?!


「キュビさんもナビつけてる?!」


「ウム ワレモ コレガ アレバ マチニ イケル ソウダ」


「キュビさん、ネックレスそのままだと危ないから、首輪とかにしても良いですか? 街に行くなら首輪をしておかないと野良だと思われて討伐されますし、絶対僕らの側にいて下さいね」


「ム ソンナニ メンドウ ナノカ?」


「行きたいところは言ってくれれば可能な限り一緒に行きますから」


「ヨシ ナラ クビワモ ガマンシテヤル」


「ありがとうございます」


「マイスすごいね……キュビちゃん、首輪を嫌がって絶対してくれなかったのに。だからナビなら良いかなって」


だからってネックレスをキツネさんにするのはどうかと思います。すぐ切れちゃいますし、危ないですよ。首輪、何が気に入らなかったのかなぁ。


「どんな首輪ですか?」


「これ! 街で買ったの」


レナさんが出してきたキュビさんの首輪は、少し皮が硬くゴワゴワしていた。


「キュビさんは、この首輪が硬いのが嫌でしたか? それともゴワゴワしてるところ?」


「リョウホウダ」


「分かりました」


僕は、キュビさんの首輪の皮を柔らかくしてゴワゴワをできるだけ取ってみることにした。ナビの宝石も動かないように金具に固定する。


「キュビさん、つけてみてください。以前より軽くして、肌触りも良く柔らかくしてみました」


「マイス! コレハ スゴイゾ!」


キュビさんは、嬉しそうに首輪をつけてくれた。


「これで街に行っても安心ですね」


「マイスすごーい。キュビちゃん、その首輪ならつけても嫌じゃないの?」


「ウム コレナラ イツモ ツケテ イテ カマワナイゾ」


「それだとキュビちゃんが森で迷っても助けてあげられるね」


「……ム マイゴ タマニアル」


キュビさんも、方向音痴なんだ。レナさんの言う通り、方向音痴は意外と多いのかもしれない。


「ついでにナビも納品しよっか。マイスも来てね。すぐにロイヤリティを払うから」


「もう売れるの確定なんですか?」


「うん、全部ギルドが買うから。まだまだ足りないから作ってね。金貨5枚で納品するよ。ギルドが売る時は金貨6枚」


「た……高くないですか?! そんなの一気に売れないでしょう?」


100個はあるよ?!


「ふふっ、そこはカナの手腕を褒めてあげてよ」


「マイスさんの話を聞いていて思いついたんですけど、マイスさんは道具をレンタルされていたでしょう?」


ああ、そうだった。ダン親方ところを辞めた時に、一旦全て返却したけど、次働くならまた道具借りなきゃと思ってたもんね。レンタル料、高かったなぁ。


「そうですね」


「だから、それをヒントに魔道具のレンタルを提案したんです」


「魔道具のレンタルですか?」


聞いたことないよ!


「マイスさんのナビは、居場所が分かりますから、持ち逃げ出来ないでしょう?」


「ああ、なるほど。確かにひとつを必ずギルドに置いておけば他の魔道具の場所は分かりますね。けど……そんな使い方をするなら、無くしても帰って来る回帰機能を付けたらどうですか?」


「回帰機能?」


「ええ、一定の期間が経つと登録している持ち主の所に転移するんです。結婚指輪などで望まれる機能ですね。回帰のタイミングや場所、人物は調整出来たはずだから、持ち主をギルドの支部にして、期間は毎回ギルドが指定すれば良いんじゃないでしょうか? 通信も出来るから、希望があれば期間を延長出来るようにすれば冒険者も安心ですし、レンタル期間が過ぎれば自動でギルドに戻るから、返却の手間もありません」


「そんな事出来るの?!」

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