第14話

「キュビさん、温度はどれくらいがお好みですか?」


「ウム ワレハ ヌルメガ イイゾ」


「わかりました」


キュビさんはお湯の温度はぬるめが好きらしい。僕は熱めが好きだから、やっぱり浴槽を分けて良かったかな。


帰って来たみなさんは、嬉しそうにキュビさんとお風呂に行きました。


「お風呂気持ち良かった! マイスも入っておいでよー」


「は、はいっ!」


みなさん、お風呂上がりは良い匂いするし色っぽいし、目の毒ですよ。逃げるようにお風呂に来たら、誰かの気配がする。


「あの! まだ誰か居ますか?!」


3人ともお風呂から上がってるのは見たんだけど……。


「マイス! オトコ ドウシ イッショ 二 ハイロウ」


「キュビさん?!」


キュビさんまだお風呂に居たんだね。

まぁ、男同士なら良いかな……って!


「キュビさん、オスなの?!」


「ソウダ」


「なんでアオイさん達とお風呂に入るんですか?!」


「ム ダメカ」


「ダメに決まってますよ! キュビさんは今後は僕とお風呂に入って下さいっ!」


お風呂上がりにみなさんに説明すると、みんな知らなかったみたいです。


「えー! キュビちゃん男の子なの?!」


「え?! キュビちゃんオスなの?!」


「知らなかったです」


「なんで誰も知らないんですか……」


結局、今後は僕とキュビさんでお風呂に入る事になった。


「マイス! ワレヲ アラエ」


キュビさんとのお風呂タイムは癒される。お風呂の時間が長くなるし、お風呂上がりの色っぽいみなさんとちょっとしか顔を合わせなくて良いから、本当に助かる。


お風呂上がりに、アオイさんを捕まえてお願いをする。うん、時間経ってるから色っぽさが落ち着いてるね。良かった!


「アオイさん、お願いがあるんですけど」


「ん? マイスがお願いなんて珍しいね。どうしたの?」


「何処か空いてる場所を貸して貰えませんか? それと、少し魔法をお願いしたいんです。道具や、鏡を作りたいので炉が欲しいんです」


「炉?! 何を作るの?」


「女性はやっぱりドレッサーが欲しいですよね? 鏡は高いから作ろうかなと。この森、ガラスの材料になる砂があるんですよ。何度か取りに来ましたから場所は分かります。ここからそんなに遠くないです。それから、道具ももうちょっと欲しいなと。買っても良いんですけど、自分で作る方が安上がりなので、製鉄の出来る炉も欲しいんです。土魔法を使って作って貰えませんか?」


「そっか、ならマイスの小屋の辺り改造して使って良いよ。作業場出来たら壊しちゃっても良いし。ゴーレム出す?」


「ありがとうございます。壊す時は相談しますね。ナビが落ち着いたら炉を作りますから魔法をよろしくお願いします」


「任せて! ねぇ、道具ってどのくらい足りない? 必要経費だから私が買うよ。ナビを納品する時に一緒に買いに行こうよ」


「え?! まだお給料日じゃないですよね?!」


「だから! 道具は私が買うよ!」


「職人の道具は、自腹が基本ですよ」


「今まではそうでも、うちは違うの! マイスは自腹で道具買うのは禁止! 私が全部買う! 道具を作るなら材料費も私が出すから!」


「えぇ……そんなの申し訳ないですよ」


「申し訳なくない! マイスはもっと欲張りになってよ! 道具を用意しなきゃ仕事しないぞって言ったら、最高級の道具を用意するよ!」


「そんな事言いませんけど、じゃあ道具は買って頂きます」


アオイさんの剣幕に負けて、道具は買って頂く事になった。どうしよう。お給料は増えたのに、使い道がどんどんなくなっていくよ。

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