第45話 大陸の動乱の後で
フォーク国に戻ったトムたちを待っていたのは、エルフ族の王女のササリン・ファミラーと魔族のサリーで、城に戻るとミンクに案内されて客間に来てエル族のササリン王女が。
「トム様、この度は私たちを救った上フォーク国に住まわせて頂きありがとうございます」
ササリンがその後を言い淀んでいるとサリーがササリンに代って。
「トム様、エルフ族は街中じゃなくて神木のある森の中で暮らしたいらしいのよ。駄目かしら」
トムがラガーを呼ぶと人化したラガーが現れて。
「トム様、千里眼で見ていましたがエルフ族と獣人国を救ってのお帰りおめでとうございます」
「そうか見ていたのか、他でもないが助けたエルフ族をラガーの近くに住まわせて良いか?」
「エルフ族なら大歓迎いたします。エルフ族は森の番人と言われて森を大事にするので、わしの近くに住んでも問題ありません」
ササリンが人化したラガーを見て。
「もしかして、植物王の神木様の人化したお姿ですか?」
「そうじゃが、わしがトム様から名を頂いたラガーじゃ、わしの主様のトム様からの頼みだ、エルフ族をわしの近くに住まうのを許そう」
「ええー! トム様は神木様も従えているのですか」
「従えているのではなく仲間だ」
「トム様は一体何者なのですか?」
「俺か、俺は普通の人間だが」
「普通の人間がドラゴンや神木の他にもS級魔獣のオーガキング、神獣白銀狼を従者に出来訳無いでしょう」
と呟いたササリンの言葉はトムの耳に届かなかったのです。
魔族のサリーが真面目な顔で。
「トム様、私もお願いがあります」
「ん?サリーがお願いを言うのは始めてだな、どんな事なの」
「私のお父様に会って頂けませんか?」
「サリーのお父さんか、どんな人なのだ?」
「私のお父様は魔国の国王で深淵の森の奥の山脈に囲まれた谷底に住んでいます」
「初めて聞いたが魔族の国があるのか?」
「はい、魔族の国を知っているのはエルフ族の王族だけです。エルフ族と魔族は長生きで王族同士は昔から交流があり、習慣や風習が似ています。ササリンとも小さい頃に遊んだ記憶があります」
「へぇー、そうなのか、今でも2人は子供だろう?」
「エルフ族と魔族は見た目が若いですがササリンと私は同じ年でもう120年も生きているのよ、でも人族に直したら17歳くらいよ」
「まじかよー! 12歳くらいだと思っていたよ。俺より100歳以上年上かよ」
「そんなお婆ちゃんじゃありません!私たちは成長が遅くて長生きだから人間なら17歳と言ったでしょう、もう~、女性に対して失礼だわ」
一緒にいたナナリーナが笑い諦めた口調で。
「クスクス、トム様は女心理解しない鈍感な人だから・・・・・・クスクス・・・・」
「もーおぅー! ナナちゃんたちに相談して作戦を考え直さなくては・・・・・・・」
「ン? 何か言った」
「何でもありません。それよりもお父様に会っていただけるのですか?」
トムは前世のラノベ小説に出てくる魔族の王は魔王と呼ばれて邪悪な存在なので躊躇していたがナナリーナが。
「トム様、サリーから聞きましたが、魔族は昔に此の世界を襲った天災級の魔獣をエルフ族と人族の英雄と一緒に戦ってこの世界を救たらしいので悪い種族ではないみたいですよ」
「そうなのか、それなら会うよ。サリーいつ会うのだ」
「1週間後はどうですか?案内は私がします」
「分かった。会うのにお土産はどんなのが良いのかな」
「お父様は酒が好きだから、あの透き通った酒が良いと思うわ」
こうしてトムはサリーの父親の魔国の国王と会う事になったのである。
神木のラガーがエルフ族を迎え入れる為にナナリーナから習った森に溶け込む木造のログハウスを以前のフォーク村のあった所に建てて迎い入れたのです。
エルフ村と名前を付けて住み始めたエルフ族はその後、森を守りトムに感謝して果物の栽培に力を入れて毎年フォーク国に献上したのです。
魔国に行く準備をしていたが、最近ナナリーナ、ジエル、ローランに交じってサリーとササリンの5人が毎日のように女子会を開いていたのには気が付かないトムなのだ。
トムは魔国に行くまでの間フォーク国内を見て回り、最初にアコウ街を見て回ると、浜には沢山の塩田が並び塩を作っていた。
又港も出来て漁船が漁をしていて、ロックが指導した航海士が大型の定期船をライガー王国の王都ロラタとアコウ街の間を運行している。
サド街に行くとドワーフ族の鍛冶師が忙しく働いて取れた宝石を加工し、金を製錬して金の延べ棒を作っていた。
その他にも砂鉄の精錬所も出来てサド街は工業都市に発展していたのです。
アコウ街とサド街で働く住民も増えて益々発展してナナリーナが言っていた此の世界では最大の30万を抱える国になりそうなのだ。
トムは、キョウト街を見下ろす崖の上から大都市になった街並みを見ながら今までを振り返り、耳が聞こえず話す事も出来なかった自分がダンジョンの管理人ジョエルに助けられて良い仲間に恵まれて、こんな国を興す事が出来たことが信じられずに夢なら覚めないでくれと願っていたのです。
そんなトムを天界から見ていた創造の女神が溜息を付き。
「ふぅー、女心を理解するスキルを与えれば良かったのかしら」
思ったとか思わなかったのは誰にも分からなかったのでした。
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