第38話 建国祭に向けて、その2
深淵の森に国を作り始めてから1年が過ぎトムは執務室で今は国務長官のジエルがフォーク国の概要を書いた書類を見ていた。
それによると、住民の数は10万人に増えて、その中でもゴブリンと獣人のハーフ、ミューリッド族は2千人を超えていたのだ。
ミューリッド族は、驚くほど成長が早く、1年で大人になり働き始めて子供も産むのだ。
寿命はまだ分からないが、10人に1人くらいが魔法のスキルを持っていて、土魔法のスキルを持っている者はナナリーナの建設の手伝いをしている。
トムが最初に名をつけたリッドがミューリッド族の族長になり適性を見て、軍人、農民、商人、などの仕事に就かせているのだ。
何故かナナリーナが鑑定の目を使えるようになり移住者をその人のスキルにあった職業に就けているので皆が喜んで働いているらしい。
塩田の街はアコウ街、鉱山の街はサド街とナナリーナが前世の街の名を付けて、今ではアコウ街が1万、サド街が2万の街になっている。
国を魔獣から守る警備はオークキングのドガと神獣、白銀狼ゼットと配下の10匹が定期的に国を回り守って、いざと言う時はドラゴンのライザーがいるのでトムの出番はないのだ。
その他にバンクが責任者の専守防衛軍2千が訓練に励んでいる。
ロックが責任者の海運業は、ロラタ王都とダビデ街に定期船を開設して人の往来と物資を運び国の活性化に貢献している。
その他にもアコウ街に港を作りナナリーナから漁業を教わり、今では各地を船で飛び回りフォーク国でナナリーナに次ぐ忙しい男だ。
鳥人族のバースは諜報部の責任者として鳥人族の配下10人各国に配置して情報を集めている。
冒険者ギルドも開設して冒険者で賑わい、今ではダビデ街のギルドより魔石の取り扱い量が多いほどなのだ。
周りには色んな人材が集まりフォーク国は1年で急激に発展してトムはこんなに幸運に恵まれて良いのかと思う程なのです。
アイオイ国王夫妻、ドワーフ国のギオス国王、バーバラ伯爵はナナリーナに別荘を建てて貰い、移転してキョウト街に時々来ている。
今日はアイオイ国王夫妻とギオス国王にバーバラが揃って来ているので王城で食事を一緒にしているのです。
日本酒を飲んでギオスが上機嫌で。
「やっぱり、旨い! 最高の酒だ、俺は此の酒があれば何もいらん、ガッハハ」
バーバラは初めて食べる刺身を恐る恐る口に入れて。
「・・・・・・美味しいー! 生の魚を始めて食べたけど臭みも無くて美味しいわ~、酒が進みそう」
シャルル王妃も刺身を始めて食べて、お代わりをして黙々と食べていたが食べ終わると酔いが回ったのか。
「こらー! トム君、何時までローランを待たせるのよ、早く結婚してあげなさいよ。ナナちゃんとジエルさんも待っているのに、男らしく3人を奥さんにしなさい」
トムは何を言われているのか分からずにキョトーンとしているとアイオイ国王が。
「やれやれ、トム君は女心を分からないと聞いたが本当に朴念仁だな」
バーバラがいかにも残念そうに。
「トムさんは本当に駄目ねー。もしかして女性に興味のない男色なのかしら?」
バーバラの言葉でやっと皆の言う意味に気が付いたトムは慌てて。
「俺は男色では無いよ。女性の方が好きなのは当たり前だろう」
シャルル王妃が。
「ローラン、ナナリーナ、ジエルと結婚するのは嫌なの? 他に好きな女性がいるの?」
トムは奥さんにするのは1人だと思っていたので。
「えっ? 3人と結婚?・・・・結婚は1人じゃないの?」
アイオイ国王が。
「余はシャルルの他に側室が3人おるぞ」
ギオスも。
「ワッハハー! わしは嫁が10人おるぞ」
「ええー! そんなに・・・・・・・・
バーバラが逆に驚いて。
「もしかしてトムさんは、女性が男性の2倍いるので甲斐性のある男性は複数の女性を奥さんにして面倒を見ないといけないのを知らないの?
「ええー! そうなのですか、知りませんでした」
「それで、ローランとナナリーナにジエルを奥さんにするのは嫌なの?」
「とんでも無いです。3人とも優しくて綺麗すぎて俺にとっては、高嶺の花で俺なんかと結婚するとは思えません」
ローランが代表して。
「私はトム様が大好きで結婚したいです。ナナちゃんとジエルさんも同じ気持ちです」
「えっ?・・・・ 本当に?・・・・俺は3人共大好きで1人を選べないよ」
シャルル王妃が。
「はーい! 決まりね。此処にライガー王国の王妃としてフォーク国、国王トム・バンドウとローラン、ナナリーナとジエルの婚約が決まった事を宣言いたします」
こうしてローラン、ナナリーナとジエルの3人と婚約させられてトムも3人を大好きなので内心は喜んで受け入れたのです。
アイオイ国王夫妻とギオス国王にバーバラが帰った後にトムは、自分の部屋にローラン、ナナリーナとジエルの3人を呼び申し訳なさそうに。
「えーと、急に3人は婚約したけれど、本当に俺と結婚しても良いの? 3人とも性格が良くて綺麗で俺には勿体ないくらいだよ。断るなら断っても良いぞ」
ジエルが。
「こんな魔物の私を奥さんにしても良いのですか、私はトム様を大好きなので結婚出来たら嬉しいです」
ナナリーナが涙を流して。
「嬉しいです、大好きなトム様と結婚出来るなんて夢見たいです」
最後にローランが。
「私は以前からトム様をお慕いしていました。トム様以外の男性と結婚するくらいなら一生独身でいるつもりでしたから嬉し過ぎる位です」
トムは3人の気持ちを確かめた後に。
「ありがとう、俺は3人を幸せにするために生涯愛して離さないで他の女性に目を向けない事を誓うよ。宜しく」
こうしてトムはローラン、ナナリーナとジエルの3人と正式に婚約したのです。
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