第25話 国作り、その4


 領主のバーバラが教えてくれた内容は多種にわたり、大陸は300年位前までは大小様々な国があり領土を巡る戦争が絶えなかったらしい。


 大陸の中央にある山脈を挟んで北側をバロン帝国が南側をライガー王国が統一して、東側にはエルフ国、獣人国、ドワーフ国の5つの国に少数民族の村がある。


 山脈があるのでバロン帝国とライガー王国はお互いを攻めるのが難しく平和が保たれているのだ。


 エルフ国、獣人国、ドワーフ国は今でもバロン帝国から度々侵略を受けているらしい。


 他の国は、奴隷は犯罪奴隷しか認めていないのにバロン帝国は人族主義で、軍事国家で他の民族は奴隷としてしか認めていないのだ。


 国を興したらバロン帝国は無視して良いがライガー王国、エルフ国、獣人国、ドワーフ国には建国した事を通知して建国祭に招待するのが常識らしい。


 最後に領主のバーバラがアドバイスして。


「だから今回の建国祭は内輪で仮の建国祭にして正式な建国祭は1年後くらいにした方が良いわよ」


トムもバーバラに言われてまだ国としての体制が整っていないのでその方が良いと思い、建国祭では無く、国を立ち上げる記念祭にしたのです。


 その晩に食事をご馳走になった後に夜遅くまでバーバラから色々教わり、国の特産品を作る事や国民を飢えさせないように食糧事情を良くする事などを教えられたのです。


 トムよりもナナリーナがバーバラの話をメモに取りながら熱心に聞きバーバラから。


「若いのに感心ねー」


 と褒められていた。


 次の日の帰る前にジエルが侍女と買って来た食料品をバーバラに贈られてマジックバックに入れているとバーバラが驚いて。


「トム様は空間魔法も使えるの?」


「此れは、恩人の魔法使いのお婆さんから頂いた物です」


「ふ~ん、その魔法使いのお婆さんに私も会って見たかったわ。時々は遊びきて、建国祭の時は私も招待してよ」


「はい、必ず招待します。食料品をありがとうございました。又、相談事があったら相談に来ます色々とありがとうございました」


 バーバラの屋敷を辞してギルドに挨拶をして帰ろうと思い住民たちに礼を言われながらギルドに行くと女豹パーティーの3人が待ち構えていてリーダのミンクが怒って。


「トムさん! 王都の帰り道に顔くらい見せに来ても良かったのと違うの、もう~」


 トムも悪かったと思い。


「言い訳はしないよ、俺が悪かった。すみません」


「そう素直に謝られるともう怒れないわ、王都で死霊を倒した後どうしていたの?」


 王都から帰った後の事を話すと剣士のバンクが。


「ええー! トムさんが国王になるのか?」


「国と言っても今はまだ小さな街だよ、此れから本格的に国作りを始めるつもりだ」


 ミンクが。


「ねえー! 私たちも手伝うからトムさんの国に住んでも良いかしら」


「ミンクさんたちなら歓迎するよ」


 魔法使いのロックが。


「よし! 善は急だ。ギルドの宿を引き払って一緒に行こうよ」


 結局、女豹パーティーの3人がフォーク国に移住する事になり、一緒に行く事になったのだ。


 最後にダビデ街のギルドマスター、ボルドに挨拶に行くとやっぱり王都からの帰りに寄らなかった事を怒られたが何とか許してもらい、落ち着いたらフォーク国にギルドを開設してもらう約束をして船に戻ったのです。




 船に戻って隠蔽を解くと船の甲板でオーガキングのドガ大きなイビキをかいて寝ていたのだ。バースが獣人の姿に戻ってドガを蹴って。


「何時まで寝ているー! 全く警備の役目をしていないじゃないか」


 ドガが目を覚まして辺りを見渡して。


「ん?・・・・俺、寝ていたのか?船の揺れが気持ち良くて寝てしまったみたいだ。トム様すみません」


  船を動かし始めるとロックが操縦席に来て興味深そうにトムの運転を見ていて。


「僕に運転を教えてくれませんか」


 トムが運転の仕方を教えるとロックは直ぐに船の操縦を覚えてトムより上手に船を操りキョウト街に帰ったのです。




 キョウト街に付いて船を降りて街を見たミンクたち3人は信じられない顔をして。


「凄い! 綺麗な街だ」


「深淵の森の中にこんな街が・・・・・・」


「信じられないよ、すげえー」


 3人3様な表現で驚いていたのだ。


 3人は独身たちが住む3階建ての前世のマンション風の1LDKの部屋に案内されてトイレやお風呂を見てミンクが。


「貴族の屋敷より設備が良くてもうここ以外に住む気がしないわ」


 一緒に案内したナナリーナが自慢して。


「気に入ってくれて良かったわ。この建物は私が設計して建てたのよ」


 ミンクが。


「えっ! ナナリーナちゃんが・・・・・・天才だわね」


「エッヘヘ、ありがとう~」


 こうして又3人の仲間が増えたのだ。

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