第12話 死霊との闘い、その2


 トムが意識を取り戻して目を開けるとそこは、ギルドから借りている見慣れた部屋のベッドの上で、ベッドの横の椅子にいたジエルが涙を流して抱き付き。


「良かったー! 気が付いたのね。トム様は2日も意識が無かったのよ。何処か悪い所はない?気分は悪くない?」


 部屋にいたラガーが。


「じゃからわしが言っただろう、トム様は魔力を使い過ぎて魔力欠乏症だから魔力が増えたら元気になると言ったじゃろうに。自分も魔力が

少なくなってフラフラで帰って来たくせに、全く・・・・・・・」


「それは言わないでよ。2日も目を覚まさないから心配しただけなのに、ラガー様は意地悪ね」


 トムは聖の流星魔法を放った後の記憶が無いので。


「ところで俺は、流星魔法を放った後の記憶が無いのだが・・・・・・・・」


「えっ? トム様が聖魔法で死霊を全滅させて移転魔法で帰って来たのに覚えてないのですか」


「そうか死霊を全滅させたのか。良かった」

 

 小鳥姿のバースが部屋に来て。


「トム様、気がつかれましたか、元気な様子で良かったです。窓を開けて住民に元気な姿を見せてちょっとだけ手を振って下さい。


 バースに言われて窓を開けるとギルドの周りには大勢の住民たちがいたので不思議に思い、言われた通りに窓から顔を出して手を振ると「わぁー!」と歓声が上がり。


「トム様―!」「トム様! ありがとう~」

「トム様は街を救った英雄だー!」


 など色々聞こえて驚いているとバースが。


「トム様は今では、この街を救った英雄ですよ。後でギルドの外に出て住民に挨拶をして下さい」


 窓を閉めてベッドに腰を下ろすと、ドアをノックして顔見知りの年上だが綺麗な受付嬢が部屋にはいり。


「トム様、この度はダビデ街を救って頂きありがとうございました。案内いたしますのでギルドマスターの部屋に来ていただけませんか」


 トムが着替えて受付嬢に案内されてギルドマスターの部屋に入ると、でっぷりと肥えた男性が隣に立った受付嬢に肘で突かれて渋々の感じで。


「街を救ってくれて感謝する。褒美にD級冒険者に昇格する事にした」


 隣の受付嬢が綺麗な顔を真っ赤にして怒りだし。


「ギルドマスター! 何を言っているのよ。何でD級なの、もういいわ!! 先程ギルド本部から連絡が来て貴方はギルドマスターを解任されるのよ、理由は、わかるでしょう」


「分からん、何でわしが解任されるのだ」


「貴方ねー! あの馬鹿な鷹の爪パーティーを依怙贔屓してA級冒険者にしたでしょう、トム様たちが沢山の魔獣を討伐して魔石をギルドに売ってくれて業績を上げているのに昇格に反対して冒険者を好き嫌いで判断するから、本部に手紙で知らせたのよ。貴方は解任されて今日から私が次のギルドマスターが来る迄ギルドマスターの代理マスタ―なのよ。分かった! 貴方は荷物をまとめて帰りなさい」


 ギルドマスターと受付嬢の言い合いを聞いてトムは、今迄ギルドマスターと会った事が無く自分たちが何故、冒険者の階級が上がらないのか理由が分かったのだ。


 だがあのギルドマスターが何故トムを嫌うのかは分からなかった。


 受付嬢のギルドマスター代理が説明してくれて、ギルドマスターはあの鷹の爪パーティーの魔法使いの親戚で、トムたちを憎んでいたと聞き嫌う理由が分かった。


 受付嬢は私情を挟んで冒険者を依怙贔屓するギルドマスターを許せなく王都にあるギルド総本部に手紙で知らせて、本部から冒険者を装った調査員が来て調べて帰り、冒険者たちえの実績を無視して好き嫌いの私情で降格をした事とギルドの公金を横領していたのが分かり解雇されて公金横領の罪で刑に服すようになったのだ。


 ギルド総本部から新しいギルドマスターが着任してトムたちは会う事になり、ギルドマスターの部屋に行くと受付嬢と新しいギルドマスターがいてギルドマスターが。


「この度この街のギルドマスターになったボルドだ。宜しく、街を死霊から守ってくれてありがとうございます、君たちを今まで実績と今回の活躍でA級冒険者に昇格する事になったよ」


 受付嬢が思い出したように。


「そう言えば、私の名前を言うのを忘れていたわ。私の名前はマギーよ。トム様たちはパーティーの名を決めていないので名前を決めて戴けませんか」


 ジエルが。


「村の名前のフォークが良いと思いますが」


 トムたちも賛成してパーティーの名はフォークに決まったのです。


 ギルドマスターのボルドが。


「フォークパーティーにギルド本部から依頼があるのですが受けて戴けませんか、依頼の内容は黒の森の調査です。特に森の奥にある黒沼の辺りを調査して欲しいのですが」


 今回死霊の群れが出たのは黒の森からだが又こんなことが起きたら困るのでトムは依頼を引き受けたのです。


  その後に死霊を討伐した報奨金、白金貨10枚1億ルーフを渡されて余りに多さに驚いたが。


 ギルドマスターのボルドが。


「トム様の功績を考えたらこれでも少ないくらいです」


 そう言われて全部ギルドカードに入れて貰ったのだ。


 ギルドの3階の部屋に帰るとラガーが。


「王国があの死霊を討伐 するには、国の魔法使いを総動員して数万の兵士を動員しなければならないのでその費用は、白金貨100枚以上かかるのでトム様が受け取った10枚は安すぎますなぁ」


「そうなのか、じゃ、此れからは遠慮なく貰うことにするよ」


 ジエルも。


「そうですよ、トム様は人が良すぎますよ」


 前世ではお金に縁の無かったトムは円にすると1億円は見た事もない大金なのでビビってしまったのだ。


 次の日にトムたちは入念な準備をして黒の森の調査に向かったのです。

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