後半
状況は私とほとんど変わらなかったはずだ。
身長の差があるくらいだと思う。
「まず、トラックは何の目的をもってあそこにいたかだ。これはもちろん、引っ越しの用だろう。」
「それは分かります。」
トラックはおよそ目的地に向かっている。ではそれはどこだったのか、私は新宅の並ぶ住宅地がある場所。つまり、ここより直進に向かう場所だと考えた。
「ここから直進すれば、住宅地に出るというのはあながち間違いではない。ではなぜトラックは脇道に入る選択をしたのだろうか。」
「それは脇道に逸れた方が、得をすると運転手が判断したからでは?つまり、近道として使ったとか。それか、道路が混んでいたとか。」
「それらは共におよそない。一つ、自動車が渋滞する時間帯は朝と夕が基本であり、今は昼もいいところだ。二つ、近道説はあの車のナンバープレートからここら近辺の車ではないことが分かるため、そこまで良く土地勘が働かないことが予想される。」
確かに、トラックがこちらに向かってくる可能性は少ないかもしれない。
「加えて、引っ越しのトラックの目的地は引っ越し先だけじゃないだろう?」
言われて、思い立つ。
「荷物を受け取る先にも向かいます。」
「そう、ここらにも新宅の家が建つように新たなどこかに家を建て、ご両親を呼び込む家も少なからずあるだろう。古い家だろうが、新しい家だろうがトラックの向かう可能性は変わらない。」
まぁ、多少こちらに来る方が可能性として低いかもしれないというほどだ。
兄も語気を強めたりはしない。
初めから、2択遊びだと言っていた。
これ以上遊びに向き合う必要もないだろうと思い、すっきり忘れる。
ところで、そろそろバックから手を離せ。
私は両手でバックを下に振り下ろす。
T字路の雑件 端役 あるく @tachibanaharuhito
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