第37話 デバフ
さらに2日が経って私の体調は万全になった。
これでやっとダンジョン攻略を再会できるよ。
というわけで早速リビングでくつろいでいることりさんを誘う。
「ことりさーん、お昼ぐらいから一緒にスライムダンジョンいこーよー」
「それは嬉しいんですが、体調はもう大丈夫なんですか?」
「うん! 大丈夫だよ!」
「それならよかったです! では私はダンジョンに行く準備をしてきますね!」
そう言ってことりさんは私の部屋に行った。
今思ったけど2人ともいつまで私の家にいるんだろう。
私は別にいいんだけど、2人とも家に帰らなくても大丈夫なのかな?
私が気にすることでもないとは思うけどね。
ことりさんと入れ替わってくるように涼っちがリビングに来た。
ちょうどいいタイミングだよ。
「ねー涼っち。お昼から私たちダンジョン行くんだけど、その間どうする? 家で待ってる? それとも帰る?」
「家で待ってる!」
即答だった。
帰る気あるのかなこの人……
「分かったよ。妹の分の鍵が玄関にあるから、もし出かけるんだったら閉めて出かけてね」
「りょーかい! 無理しないようにねー!」
「はーい」
私もとりあえず準備しておこう。
スライムダンジョンだから必要なものは特にない。
【スライムの短剣】を【アイテムポーチ】に入れて持っていくだけ……って今【アイテムポーチ】使えないんだった。
なら代わりに最初の方に使っていたリュックにでも入れていこう。
ポーション系はどうせ使うことないから持っていかなくていいかな。
使うことになっても今はあんまり飲みたくないけどね……
「他に持っていくものは…………そういえばあれどこ置いたっけ……」
私は部屋の中を見回す。
「あったあった! 【
私は小さな瓶の中に入っている真っ赤な飴玉みたいなものを見てそう言う。
ゴブリンキングを倒した報酬で貰えたアイテム。
食べたらHP1が1になる代わりに1分間だけ攻撃力が10倍になるとかいうとんでも効果だった。
こんなの撃薬じゃなくて劇薬だよ!
でもゴブリンキングみたいな食らったら即死みたいなモンスターには結構使えそう。
逆にサラマンダーみたいな熱気だけでHPが減ってしまうようなモンスターとは相性最悪だけどね。
使う場面なんてないと思うけど、一応リュックに入れておこう。
できたらそんな場面二度と来ないことを願いたい……
★
涼っちが作ってくれたお昼ご飯のオムライスを食べた後、私たちはスライムダンジョンに向かった。
涼っち今のところ卵料理しか作ってないけど他の料理も作れるのかな。
そんな感じのことをことりさんと話しながら向かっていたらいつの間にかスライムダンジョンに着いていた。
「いつもより人が少ないですね。どうしてなんでしょうか……?」
「近くのダンジョンで地震があったからとかじゃないの? 理由を知っている私たちは怖くもなんともないけどね。そんなことより早く行くよー」
「は、はいっ!」
★
私たちはスライムダンジョンをどんどん進んで、あっという間にボス部屋の前に到着した。
特に強いモンスターが出るわけでもなければ、隠し部屋があるわけでもないからね。
それに経験値がおいしいわけでもないから全員無視してきたし。
「ついにボスですね! 気を引き締めていきましょう!」
「やる気があるのはいいけどただのスライムだよ?」
「ダンジョンでは何が起きるか分かりませんから最後まで気を緩めない方がいいですよ!」
ゴブリンキングみたいなのもいるし、そうなのかもしれない。
でもスライムダンジョンにそんな裏ボス的なのはさすがにいないと思う。
ボス部屋の扉をことりさんは勢いよく開けて一緒に中に入っていく。
部屋の真ん中にはいつも通り普通のスライムがいる。
「ここは私に任せてください!」
そう言ってことりさんはゴブリンキングからドロップしたと思われる【キングアックス】でスライムを叩く。
叩かれたスライムは粉々に、それどころかスライムがいたダンジョンの床まで亀裂が入っている。
これはことりさんに逆らったら殺されるやつだよ……
「ことりさんおつかれ……サイズを変えられるっていってもよくそんな大きさの斧を片手で持てるね……」
「そういえば言ってませんでしたね。私は呪いのせいで生まれた時から身体強化のスキルを持っているんです。ステータスを手に入れる前からあったのでステータス画面には書かれていませんけどね」
だから前、私が身体強化のスキルをおすすめした時に「ちょっと……」って言っていたんだね。
ていうか呪いでバフ効果ってそれは呪いではない気が……
「なんか呪いのデバフとかってのはあったりするの?」
「ちゃんとありますよ! 私の呪いのデバフは20歳までしか生きられないっていうやつです!」
ことりさんは笑顔でそう言った。
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