第25話 やっぱり隠密はチートだった
「ご、ゴブリンたちがこっちに来ます! 一緒に倒しましょ……」
私は一瞬だけ繋いでいる手を離してゴブリンたちに近づき、短剣で首を切り飛ばした。
ことりさんが話している途中だったけど、まあいっか。
「ゴブリンを一撃!? さすが琴音さん……じゃないんだった。さすがことねちゃん!!」
「これくらい余裕ですよ! 全部私に任せてください!」
レベル37の私の敵になるモンスターなんてこのダンジョンにはいない。
ボスのゴブリンナイトですら瞬殺だからねー。
「それだと私の存在意義が……経験値泥棒の無能でごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「経験値は減ったりしないから気にしなくていいですよ!! ことりさんの存在意義は――癒しキャラかな?」
1人でダンジョンを周回するのは辛いけど、ことりさんと話しながらだと楽しいからね。
「私が癒しキャラ!? 嬉しいような恥ずかしいような……」
ことりさんの顔がだんだんと赤くなっていってるのが分かる。
「一旦忘れましょう……!! そりより経験値が減らないってどういうことですか? パーティでモンスターを倒したら2人なら半分、3人なら3分の1になるって聞いたんですが……」
ことりさんの言う通り、普通ならパーティでダンジョンに行く場合、モンスターを倒した時に貰える1人あたりの経験値はモンスターの経験値割るパーティの人数になってしまう。
だから私とことりさんのように2人パーティの場合は経験値が半分になってしまう。
普通ならそうなってしまうけど、私が装備している【成長の指輪】のおかげで経験値が2倍になるから、2倍になった分の半分、つまり2人とも通常通りの経験値が貰えることになるんだよ。
「この指輪の経験値が2倍になる効果のおかげで減らないんだ〜!」
「経験値が2倍!? そんな装備どうやって手に入れたの? あ、いや、その、別に嫌なら教えてくれなくてもいいんだよ……!」
ことりさん慌てすぎでは?
「ことりさん一旦落ち着いてください!」
ことりさんが落ち着くまでの間、私は倒したゴブリンの魔石を回収をする。
「は、はい…………落ち着きました……」
「この装備はね、スライムダンジョンのクエスト報酬で貰ったんだよ!」
私がそう言ってからことりさんが答えるまで少し間が空いた。
「あ! それってもしかして前に掲示板に書いてたクエストのこと? 嘘って言われてた……」
あの時ことりさんもいたのか。
てことは嘘じゃないって気づいてたのかもしれないね。
「そうだよ〜! モンスター未遭遇のクエストなんて私のスキルがなかったらクリアできない気がするけどね……」
「あの、もしよかったら私とスライムダンジョンに行って貰えませんか? 私もその装備ほしいです!」
「行くのは全然いいんだけど、たぶんこの装備は貰えないと思うよ。初クエストクリア報酬って言われたから……」
「そうなんだ……それでも1回行ってみたいです!」
初クリアじゃなくても報酬は貰える。
何が貰えるかは知らないけどね。
「ならゴブリンダンジョンをクリアしたら行こっか」
「ことねちゃんありがとっ!」
感謝されるって嬉しいね。
「それじゃあ探索を再開するよ!」
「はいっ!」
そんな感じで私たちはまた進み始めた。
ゴブリンしか出ない5階層まではことりさんも戦いたいって言っていたから、ことりさんに任せることにした。
ことりさんの武器は【氷結の剣】という大きな剣だ。
1回持たせてもらったけど、重すぎて私には扱えそうになかった。
【氷結の剣】に切られたゴブリンは切られた部分が凍って動かせなくなっていた。
まあほとんどのゴブリンは一撃だからあんまり関係ないけどね。
ボスによっては凍らないのもいるらしい。
サラマンダーくらいになると絶対無理だと思う。だって燃えてるし。
「5階層まで初めてノーダメージで来れた! これもことねちゃんのおかげだよ! ありがとう!」
感謝されるって素晴らしいね。
「どういたしまして〜! ここからはシャーマンとかが出てるくるから私に任せてね! でも絶対に手は離しちゃだめだよ!」
「絶対に離しません!」
そこの返事ははいとかで良かったと思うよ。
5階層を進んでいくと早速シャーマンが2体出てきた。
昔の私だった無視して進んでいったけど、今は違う。
「はあっ!」
2体の首を正確に狙って短剣を振る。
ゴブリンは首じゃなくても一撃で倒せるけど、シャーマンとかになると2回当てないといけなくなるからね。
首が飛んでいったシャーマンたちは魔石に変わる。
「シャーマンも一撃……!? ことねちゃん強すぎだよ!」
「ここまで強くなれたのはスキルと【成長の指輪】のおかげだから私は別に大したことないよ」
【成長の指輪】の恩恵が大きすぎる。
これがなかったらまだレベル25くらいなんじゃないかな。
「そんなことないよ。ことねちゃんが毎日ダンジョンに行ってるからここまで強くなれたんだよ。毎日続けるってすごいことだよ!」
そんなこと言われたらなんか恥ずかしい。
「は、早く進むよ……」
「はーいっ!」
ことりさんは笑みを浮かべながら返事をした。
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