第17話 アイスみたいに甘くはない
ダンジョンから出た私は魔石を換金して家に帰った。
まだ外は明るいけど、初めてのDランクダンジョンで疲れたから早く休みたいのだ。
「もうヘトヘトだよぉ……」
今ベッドに入ったら1分もかからずに寝れる気がする。
でも汗でベトベトだから先にお風呂に入るけどね。
ヘトヘトでベトベト。
さすがわたs……
★
お風呂から出てパジャマに着替えた。
それから長い髪をドライヤーで乾かす。
乾かし終わったら自分の部屋に入ってすぐさまベッドにダイブっ!!
「いたっ!!」
ダイブしたと同時に頭に激痛が走った。
そういやゴブリンに殴られたんだった。
お風呂の時にしみなかったからもう治ったんだと思っていたよ。
「痛いけどそれは置いといて、本題に入ろう!」
私はステータス画面を開く。
――――――――――――――――――――――――
状態:隠密
HP:26
攻撃力:25
防御力:26
固有スキル:「隠密」
スキル:なし
――――――――――――――――――――――――
スキルポイントがちゃんと100たまっている。
「やった〜!! これでついにあのスキルが手に入るよ〜!」
よし! さっきダンジョンで言いたかったことを言えた!
「早速スキルを獲得しよう」
空中に表示されているスキルポイントの文字をタップすると取得できるスキルの一覧が表示される。
「あった、私がほしいスキルはこれだよこれ!」
――――――――――――――――――――――――
「初級氷属性魔法」(必要スキルポイント100)
――――――――――――――――――――――――
初級魔法はどの属性でも100ポイントで獲得できる。
中級は500ポイント、上級は1000ポイントで取れるけど獲得する人はほとんどいない。
理由は初級魔法を使い続けていれば、いずれ中級や上級の魔法に進化していくからだ。
そもそも1000ポイントもたまるの?
「まあ、いっか。とりあえず、このスキルをください!」
私がそう言うと画面が光って、ステータス画面に切り替わった。
――――――――――――――――――――――――
状態:隠密
HP:26
攻撃力:25
防御力:26
固有スキル:「隠密」
スキル:「初級氷属性魔法」
装備:【スライムの短剣】【成長の指輪】
――――――――――――――――――――――――
スキルポイントの表示が0に変わっていて、スキルの所には初級氷属性魔法と書かれてある。
ちゃんと獲得できたみたいで一安心だよ。
このスキルがほしかった理由はもちろんアイスだ。
このスキルがあればアイスが作り放題食べ放題!
私の夢がひとつ叶ったよ!
「てことで早速試してみよー! 初級氷属性魔法!!」
私は大きな声で言った。
…………何も起きない。
この流れってもしかして……
嫌な予感しかしない。
「とりあえず調べてみよっかぁ…………」
私は『初級氷属性魔法 使い方』で検索する。
検索結果の1番上に
『なりたて冒険者に多いミス 〜魔法スキル編〜』
と書いてある記事を見つけた。
その記事を読んでみるとこんなことが書いてあった。
魔法スキルを発動するには、魔石が埋め込まれた杖が必要です。
強いモンスターの魔石ほど魔法の威力が上がり、連続で魔法を使用した時の疲労が減ります。
魔法の属性と同じ属性のモンスターの魔石だとさらに威力が上がり、疲労が減ります。
※魔石の量が多くても、その中で1番強いモンスターの魔石の効果しか反映されません。
杖がない状態で使おうとして、ハズレスキルと勘違いする初心者が結構います。
そもそもハズレスキルなんてあるのかどうかも怪しいです。
筆者はデマなのではと思っています。
掲示板で自分ハズレスキルでした。とか言っている人はきっとかまってもらいたいだけだと思います(笑)
なるほど! とは思ったけど、最後の最後で全てが台無しだ。
何も知らない奴の勝手な想像でデマなんて言わないでもらいたい。
少しイラッとしたよ。
★
この後、他のサイトも色々見て回ったけど書いてあることは同じだった。
「やっぱり杖が必要みたいだね」
杖の入手方法は買うかダンジョン報酬で貰うかの2択。
ドロップアイテムを持って行って加工してもらうっていうのも買うに含めるよ。
とりあえず報酬で貰えるか調べてみよう。
今度はアプリを開いてDランク以下のダンジョンの報酬を検索る。
『該当するものはありません』
「人生はアイスみたいに甘くはないよね……」
DランクをCランクに変えて検索してみたら、たくさん出てきた。
でも、今の私が行ったら間違いなく死ぬと思うから自重する。
「Cランクダンジョンに行けるレベルになるまで我慢するしかないかぁ……」
買うっていう選択肢はないよ。
だってめちゃくちゃ高いんだもん。
そんなの買うくらいだったら普通にアイス買うよ。
だいたい今は貯金してるから無駄使いできないし。
「私も魔法使いたかったのにぃー!!」
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