第14話 ゴブリンダンジョン
翌日。
私はゴブリンダンジョンに向かっていた。
歩きだから日差しが暑い。
途中、何回も車に轢かれかけたけど、なんとか助かった。
「車に轢かれかけるのにもだいぶ慣れてきたね」
ゴブリンダンジョンにつくといつものように避難する。
「ここまで来れば大丈夫」
私は近くに人がいないことを確認して、アプリでゴブリンダンジョンについて分かっていることを確認する。
ゴブリンダンジョンは10階層まであり、5階層まではゴブリンのみ、そこからはゴブリン、ハイゴブリン、ゴブリンシャーマンが出現する。
たまにゴブリンスライムと呼ばれる緑色のスライムも出現するみたい。
ボスはゴブリンナイトだよ。
他にゴブリンダンジョンで分かっていることは罠があることと、隠し部屋があることだね。
やっぱりハズレの階段の方に何があるかは書かれていない。
たぶんサラマンダーみたいに絶対に勝てないモンスターがいるんだろうね。
サラマンダーに遭遇した後、掲示板に書いておこうかなって思ったけど、嘘つきって言われたくなかったからやめておいた。
そんなやつらがどうなっても私には関係ないからね!
「準備は完璧! れっつごー!」
そう言ってから私はダンジョンに入る。
初めてのDランクダンジョンだから少し不安だけど隠し部屋にさえ行かなければ何とかなるはず。
まずは1階層。
ゴブリンダンジョンは比較的明るいダンジョンだから懐中電灯は必要ない。
私は片手に【スライムの短剣】を持って進んでいく。
スライムが弱すぎて【スライムの短剣】の強さを試せなかったからゴブリンで早く試してみたい。
探索を続けるとゴブリンを見つけた。
ゴブリンの後ろには階段があり、階段を通る人を待ち伏せているように見える。
けど、ゴブリンはそこまで賢いモンスターじゃない。
だから、待ち伏せているわけじゃなくて、たまたま階段の前にいただけだと思う。
私はゴブリンに気づかれないようにゆっくりと近づく。
初めて戦うモンスターは隠密があっても慎重に近づかないと不安だからね。
攻撃が当たる距離まで近づくと、私は短剣でゴブリンの喉を突き刺す。
喉を刺されたゴブリンは声を出そうにも出せず、その場に倒れた。
倒れたゴブリンに追い討ちをかけるように何度も短剣を刺すとゴブリンは力尽き、魔石に姿を変えた。
「なかなかの切れ味。これなら問題なさそうだね!」
私は魔石を拾い、階段を降りて2階層に移動する。
「どうしてこんなに暗いの!?」
ゴブリンダンジョンは明るいって書いてあったはずなのに2階層は暗かった。
書くならちゃんとした情報を書いてほしい。
でも文句ばっかり言ってても仕方ない。
私は慎重に進み始めた。
早く暗い階層から移動したかったので、ゴブリンを見つけても無視して進んでいく。
移動した3階層が暗くないって保証はないけどね……
しばらく進んでいくと道の先が明るくなっていた。
「何かあるのかな?」
遠くてよく見えなかったので近づいてみると階段があった。
どうやら3階層からの明かりが漏れてきていたみたい。
私はすぐに3階層に移動してゴブリン探しを再開する。
一体目を倒すまでは少し不安だったけど、余裕で倒せることが分かった今、ゴブリンは経験値をいっぱいくれるだけの雑魚モンスターだよ。
「この調子ならゴブリンダンジョンも余裕でクリアできそうだねー!」
そんなことを考えながら進んでいくとこっちに向かって歩いて来ている2体のゴブリンを発見した。
さっきのゴブリンと違って木刀のようなものを持っている。
木刀って言うより長い木の棒って言った方がいいかもしれない。
持っていようが攻撃される前に倒したら関係ないけどね。
私はゴブリンに正面から近づき、2体の喉をほぼ同時に切り裂いて瀕死の状態にする。
後はさっきと同じように一体ずつしっかりとトドメを刺すだけだ。
「ふぅ、疲れたよ……」
トドメを刺し終えたと同時に聞き慣れた声が聞こえた。
『レベルが上がりました』
Dランクダンジョンのモンスターの経験値に【成長の指輪】の効果が合わさって3体倒すだけでレベルが上がった。
このペースならダンジョンをクリアする頃にはレベル11以上になれるかもしれない。
そう考えるとすごいワクワクしてきた。
「これも全部隠密のおかげだよ! ダンジョンに行かないといけなくなったのは隠密のせいだけど……」
矛盾してるような気がするけど手に入れてしまったものはしょうがない。
私の意思ではどうにもならないのだ。
アイスを買いに行けなかったりとか不便なことも多いけど、スキルの性能だけで見れば最強クラスだと思う。
私は魔石を2つともリュックに入れ、3階層の探索を再開した。
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