第29話

 さて、僕用の装備ももらえたので、リアにつけてもらう。


「わあ、テン!可愛い!」


 僕のふわふわの毛皮は隠されてしまったが、この鎧兜は似合うようだ。どんな素材でできているのかはわからないがとても軽くあまりつけているような気がしない。これなら動きやすそうだ。


 訓練の時間となったので、僕達は外に出る。


「新しいメンバーを紹介する。アルとリアだ。」

 筋肉もりもりの教官がアルとリアを紹介する。僕は完全におまけなので、紹介はなしだ。


「それでは、校庭20周!いくぞ!」

「はい!」


 訓練生たちが二列になり、教官のあとをついて走り出す。リアとアルも最後尾に並んで走り出したので僕はリアの横を並走することにした。ムムさんも前の方にいるモナの横にいる。

 15周をすぎるころ、列が乱れ始め遅れるひとが出始めた。僕は遅れてくる人を避けながら走った。リアもアルも日頃からたくさん走っているのでまだまだ平気そうだ。僕もレンさんとの修行の成果か、特に問題なく走ることができている。

 だんだんと、列の前の方へ繰り上がっていき、ついにモナとムムさんに追いつくことができた。


「にゃうん」

(あら、あなたのご主人さま体力あるのね。)

「きゃん」

(リアたちはいつもたくさん運動してるからね!)

「にゃうん」

(あなたも幼体なのにやるじゃない)

「きゃん」

(へへへ)


 ムムさんに褒めてもらえた。僕は照れながら走り続けた。

 20周が終わったようで、校庭の真ん中へと誘導される。


「水分補給をしなさい。」

「はい!」


 走り終わった訓練生たちが水分補給を始める。僕もリアに出してもらった水を飲む。あー水が美味しい。


 周回遅れの訓練生たちが帰ってくるまで、走り終わった訓練生たちは各自ストレッチをするようだ。リアと一緒にストレッチをしていると、さっきの筋肉もりもりの教官が近づいてきた。

「アル、リア、そこの小さい魔物もやるじゃないか。」

「ありがとうございます。」

「きゃん」

(ありがとう)


 小さいは余計だけどね。


「体力は上級レベルだな。剣術の経験は?」

「少しだけ。父たちに鍛えてもらいました。」


 アルが答えている。


「リアは?」

「経験は同じぐらいですが、アルには劣ります。」

「そうか。今日は試合を行うのでふたりとも楽しみにしているよ。」

「はい!」


 そろそろみんな走り終わりそうだ。筋肉もりもり教官は中心へと戻っていっった。

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使い魔です! 美緒 @m103o

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