第19話

 次の日、僕たちは魔法使いの洗礼に向かった。もちろん、リアのお母さんも一緒だ。


「リアさんですね。こちらはどうぞ。」

「はい。」


 僕はリアのウェストポーチに入ったまま、受付のお姉さんについて行く。

 夜空みたいな天井が広がっていて、足元には光る石が等間隔に置かれている。


 きれいだなー。


 僕はぼーっと天井を見上げた。


「この石に触れてください。」

「はい。」


 奥には大きな石があった。ちょうど僕の目の前だ。よいしょっと前脚を出して準備をする。

 リアが洗礼石に触れた。すると、石は優しく光った。


 あ、リアが手を離そうとしている。


 リアが石から手を離す瞬間、僕は石に前脚の肉球をつけた。


 スキル 魔法使い


 という言葉が頭に浮かんだ。これが洗礼なのかな。急いで石から前脚を離す。


 誰も気づかなかったみたいだ。よかった。


 僕は申請してないからバレたら怒られるかもしれないし、リアにも内緒にしておこう。


「洗礼は成功しました。あなたは魔法使いとして認められました。魔法学園の受験資格を登録しますか?」

「はい。」

「それでは、こちらへどうぞ。」


 僕たちはお姉さんについて行った。


 椅子をすすめられリアは腰掛ける。リアのお母さんはリアの横の椅子に腰掛けた。リアの膝の上から机の上を覗き込むと、机の上には一枚の紙があった。


「こちらにお名前をお書きください。」

「はい。」


 サラサラっとリアがペンを走らせる。そしてお姉さんに渡すとお姉さんが書類を見ながら話し始めた。


「リアさん、今は8歳でまちがいありませんね。」

「はい。」


 お姉さんが書類に書き込む。


「ダブルスキラーで申請してよろしいですか?魔物つかいのダブルスキラーで申請すると魔法学園へ入学する場合や、冒険者資格を取って祠へ入る場合も使い魔と一緒に入れます。」

「はい。お願いします。」


 お姉さんは、紙に丸をつけた。


「魔法使いは人口が多いのでダブルスキラーの方も時々いらっしゃるのですが、魔物つかいとのダブルスキラーはリアさんが初めてです。ですから、何かご不便があった場合は、こちらか、魔法学園の事務室へお越しください。」

「はい。わかりました。」


「ごくたまに一部の属性が強い方がいます。そういう方はその属性の魔法が使いやすい代わりにその他の魔法が難しく感じるそうです。その場合でも、諦めずに訓練すれば使えるようになるそうなので諦めないで頑張ってくださいね。」

「はい!」


「きゅん」

 僕がそうかもしれない。


「テン?どうしたの?」


 リアが僕の頭をふわふわと撫でてくれる。


「きゃん」

 大丈夫!僕諦めないから!


 そのあと、いくつかの説明を聞いた。そして、僕たちはその場を後にした。


 魔法は基本的なものは、親から教えてもらうものらしい。リアと一緒に教えてもらおう。僕も今日から魔法使いだ。


 魔法使いの使い魔!かっこいいよね!?

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