結界師の里

第7話

 今日も馬車にのり、結界師の里を目指す。僕は馬車の御者席に座らせてもらうことにした。こっちの方が風を感じられると思ったからだ。


「あ、見えたな。」


 御者席に座る、アルのお父さんが言った。目の前には森があるだけだ。なんとなく、ぼやっとした空気を感じる。


「もうすぐ着くぞ。」


 御者席からの呼びかけに応えて、リアとアルが顔を出した。


「え、どこどこ?」

「あの森だよ。」

「森しかないよ。」

「結界師以外は見えなくなってるんだよ。」

「そうなんだ!」


 結界師すごいなあ。僕も中に入れてもらえるのかな?楽しみだ。

 僕がワクワクしていると、リアが

「テン、楽しみだね!」

 と言った。

「きゃん!」

 うん!どんなとこかな。


 結界師の里の入り口に着いた。なんとなくこの森を避けて通らないといけないような気がする。

 アルのお父さんが馬車を降りた。森の中から2人の人間が出てくる。おじさんは胸元から何かを出すと、その人間に見せている。


「よし、入れるぞ。」


 ひときわ大きな木に向かって馬車を進める。ぶつかると思った瞬間、目の前には変わった建物がたくさん並んでいた。

 五角形が何個も付いてる多面体の建物だ。

 僕のイメージしている人間の家とは全然違う形だった。


「わあ。」


 リアとアルもわくわくしてるみたいだ。リアのお母さんはガシガシとメモを取り、スケッチをし始めた。


 僕たちの乗った馬車はしばらくすると一軒の家に案内された。しばらくここにいるらしい。荷物を下ろす邪魔にならないようにと気をつける。

 アルのお父さんは、アルを連れて、どこかに行ってしまった、



「テン、おいで。」

「きゃん」

 リアに呼ばれて駆けつけると、リアに抱き上げられた。


 リアの荷解きを手伝おう!と気合を入れているとリアの部屋になるところに連れて行かれた。


「今からお片付けするから、テンはお昼寝でもしてて。」

「きゃん」

 違う。僕はお手伝いがしたいのだ。


「でもすぐ終わるよ?」


 本当に一瞬だった。服をタンスにうつすだけだ。


 僕の気合いは空回った。いつも高く振り上げている尻尾も下がりそうだ。残念。


 リビングへ向かうと、リアのお父さんが夕飯の用意をしていた。


「リア、少し散策に行くけど、リアも行く?」

 リアのお母さんが言う。


「うん!テン、行こ!」

「きゃん!」

 わあい。探検だ。

 何があるのかな。楽しみだ。








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