第6話

 今日は野宿だ。おじさんたちが、野営の準備をしている間に僕はレンさんと訓練だ。

 僕は雷風狼、レンさんは氷狼なので、属性は違うが、狼なので基本的な技の使い方は一緒らしい。


 まずは自分の属性となるものを理解する。レンさんの場合、氷なので、水を触ったり、氷が溶けるのを観察したりしたそうだ。

 ということで、川に連れて行ってもらった。


「これはわたしの場合だけど、水ってどんなものなのか理解したわ。手を川に入れたり、泳いでみたりしてね。そう言われて、僕は川に飛び込んだ。」

「テン!テンは水属性でも氷属性でもないから川には飛び込まなくていいのよー!」


 レンさんは、川を水魔法でわって、水をのけて、助けてくれた。


「テンは風の属性があるから風を感じましょう。その前に、アンナに乾かしてもらいましょうね。」


 僕たちはみんなのところに戻った。


「テン!びしょ濡れじゃない」

「きゃん」

 間違えて川に飛び込んじゃった。


「間違えて?」

「きゃん!」

 魔法の練習してたんだ。


「ウォン」

 アンナに言って乾かしてもらえる?


「わかった。お母さん、テンのこと乾かしてくれる??」

「え?テンどうしたの?」

 リアのお母さんが近づいてきた。


「テン、魔法の練習で間違えて川に飛び込んじゃったんだって。」

「あらら。じゃあ乾かすわね。乾!」


 ぶぉっと風が吹いて僕の体は乾いた。


「きゃん」

 ありがとう。

「ありがとうだって」

「どういたしまして。」


 今の風魔法かな?


「テン、わたしの上に乗りなさい。」

「うん。」

「落ちないようにするのよ。風を止める気持ちで。」

「わかった。」

「いくわよ。」


 レンさんは走り出した。最初はゆっくり。ゆっくりから早く、またゆっくりと。

 僕は飛ばされないようにする。風の流れに身を任せる。

 風が顔にあたって痛い。これが風だ。


「テン、どう?」

「風が顔に当たったよ。」

「そうね。その風を体の周りに流せるようにするのよ。」

「うん。」

「もう一度走るわよ。」

「うん!」


 レンさんがまた走る。ゆっくりから早く、急にゆっくりしてり、急に早くなったり。僕の顔にはまた風が当たる。流せるように。流せるように。

 顔を動かしてみる。たしかにちょっと流れた。僕のふわふわの毛が風でなびく。

 風を魔法で操るってどういうことなんだろう。


「テン、大丈夫?今日は風ってどんなものかわかればいいのよ。」

「うん。」

「ゆっくり繰り返しましょう。明日からも風を意識して生活してみて。」

「うん。風を意識する。」


 顔に当たるこれが風。動くもの。

 動かせたらどうなるのかな。もっといっぱい観察しよう。




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