第4話

何度目の決心だろうか。

いや、決心とは言えない。

現に今、この刹那、私は生きている。

今度こそとは思うものの実現することはできない。


赤信号で立ち止まる度、駅に電車が着く度、包丁を目にする度。

何度飛び出そうと思ったことか。何度心臓に突き刺そうと思ったことか。

上着を脱ぐ度何度その袖で首を締めたことか。

なぜ死ねぬ。

こんなにも私の死を望んいる人がいるのに。



そんなことないよ。死んじゃだめだよ。



優しい人たちはいつもこんな言葉をかけてくれるけれども。

じゃあ、あなたは私が死んだら悲しむの?

私が死んだところであなたは何も変わらないんじゃないか。

むしろ厄介事が消えてほっとするんじゃないか。

本当に心の底から私の死、人の死を悲しむことができるのはその人の家族だけだ。

いつまでも心を痛めて泣くことができるのはその人を1番長く見てきた家族だけなのだ。

他人はあくまでも他人。家族に嫌われ憎まれ恨まれている私の死は、悲しまれるどころか喜ばれる。歓迎されるのだ。

私の死=人の幸せなのだ。

死ぬ以外に何の選択肢があるというのだ。

結局奴らの自己満足にすぎない。綺麗事を並べ、周りからは優しい人との称賛を得て、それで結果がどうなろうと仕方ない。

あなたは周りから同情されて慰められて称えられる。責められることはない。

当たり前の事だ。分かってる。それが正しいんだ。理不尽としか思えない私が腐っているんだろう。分かってる。でも…!!


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