消えた白線、空飛ぶクルマ

「何歳からだったかな、横断歩道の白い所

だけを飛んで渡るのをやめてしまったのは」


今はもう、横断するために必要な歩道なんて存在しない。

この街から車道が消えて何年経つだろう。


私がそう呟くと

ゴリラは、1いっぴき


ドラミングをしながら

コンクリートジャングルへと帰ってしまった。

彼の故郷にはまだ、あの白と黒の横断歩道があるのだろうか。


ドラミングをしながら去っていく、彼の後ろ姿に私は1人、届くことのない言葉を投げかけた。


「ゴリラは空を飛べないものね───」

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30秒で読めるひとくち小説 れいもんと=くろ〜 @Crow_swallow

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