あのね帳

おきな

言葉

先生、あのね。

私、先生の前では話したことがないけれど、たくさん思ってるよ。考えてるよ。


先生、あのね。

嫌なことがあっても、先生のことを思い出すと頑張ろうって思えるよ。


先生、あのね。

動けないときって、自分が自分じゃなくなるみたいなんだ。


先生、あのね。

喋れないときって、喉が閉まった感じってみんな言うけど、私は喉が震えない感じだと思ってるんだ。


先生、あのね。

普通に喋れるみんなは、喋る前にひと呼吸置かなくても何でも言えるのかな。

だからたくさん、ひどいことや嫌なことも言えるのかな。


先生、あのね。

先生も、中学生のときいじめられていたって、私だけに話してくれたよね。

正直、嬉しかった。

今ではそんな過去があったなんて想像できないくらい元気な先生でも、苦労したことがあったんだなって。

学校が嫌いだった先生が、1人ぐらい、いてもいいよねって、先生は言ってたけど、私もそうなりたい。


先生、あのね。

「頑張っている人を応援するのが俺の仕事だから」って言ってくれたよね。

私、先生に出会うまで、自分は患者さんの立場だと思ってた。

みんなが助けてくれたり、待っててくれたりするのは、私が患者さんで、みんなが助けないといけないって思ってくれてるからだと思ってた。

でも、違うかも。

先生だけの話かもしれないけど、私が頑張ってるから、それを先生が応援したいから、いつもあったかいんだね。

私が頑張ってる姿で、先生が励まされているといいな。


先生、あのね。

私が卒業したあと、先生も6月から1か月休んだことがあったよね。

私もそのとき、すごく大変で、ストレスでずっと微熱が出ていて、家にいる間、卒業文集を見返して「先生に会いたい、話したい」って思ってたよ。


先生、あのね。

たくさんの先生に出会えて、私は幸せ者です。

ずっと、ずっと忘れないよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あのね帳 おきな @okina_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ