逆さまにおちる

@tonari0407

 私は頭から落ちていた。



「 うわぁぁぁァァァァ…… 」


 叫んだ声は遥か上へと遠ざかっていく。



 あまりの勢いに目も開けられない。


 私に分かるのは暗い闇が迫ることだけ。



 どこまで落ちればこの恐怖は止まるのか。



 涙が溢れた


 ――気がした。


 もう自分がどうなっているのかもわからない。


 どんな形であれ早く終わって欲しい。


 私は一体ナゼ落ちているのか?



 答えは出ないまま速度は最高潮に達する。



 サァァァァァァ…… … … ・・・ ・





 ―――― クルンッ ――――





 世界は180度回り

 頭は急に上になる。



「 へっ? 」


 突然の出来事に意識が追い付かない。


「ひ、ひゃぁぁァァァァァ……」


 今度は足先を下に私は落ちていく。



 何故?


 なぜ?


 ナゼ?



 私は落ちているのか?



 足先がグイグイと引っ張られるような感覚が気持ち悪い。



 薄く目を開けると周りが明るくなってきた。


 闇に慣れた瞳には眩しさが辛い。


 自分が向かう先を見たいような……?


 私はどうすれ――




 サァァァァァァァ…… … ・・ ・ ・ ・




 ―――― クルンッ ――――




 頭が180度シェイクされ

 一瞬だけ思考がクリアになる。


 360度回った私は唐突に思い出した。




 ――これは無限に続く罰なのだ。



 婚約者を明るい未来から

 暗い地獄に突きとした私への。


  ▲

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