鬼ヶ島ボルケーノ

「あ、あなた……暗くて怖いわ……」

「鬼子ちゃん、絶対に俺から離れないようにしてね」


 門の近くの井戸をロープを使い降りていた。

 

 井戸の底は確かに空洞になっていて、奥に続く道が延々と続いていた。


「この先を行くと、本島に行けるのかな……?」

「どうなのかしら? とりあえずできるだけ行ってみない?」

「うん、鬼子ちゃん足元に気を付けてね」


「その必要はないオニ!!」



ドドン!!



 こ、この声は大鬼さまだ!!


「大鬼さま!? どうされたんですか、こんなところで!?」

「君たちのことが心配で見に来たオニ……!」


 大鬼さまの表情がいつもよりどこか固い。


「ど、どういうことですか?」

「君たちの家に行ったら誰もいなかったオニ……。それで、色々な人に聞き込みをしたらこっちのほうに向かったと聞いたので、もしかしてと思ってここまでやってきたオニ」

「そ、そうだったんですね!」


「それで! やっぱり思ったオニ!! 君にはやっぱり鬼子ちゃんは任せられないと!!」



ドドン!!



 大鬼さまの顔がまさしく鬼のような形相になっていく!


「ど、どういうことでしょうか……?」

「鬼子ちゃんはみんなのアイドルだったオニ。君はそれを独占しようとしたオニ」

「そ、そんなことは……! 大鬼さまだって俺たちのことを応援してくれてたじゃないですか!」

「推しの幸せを祈るのがオタクの努めオニ!!」



ドォオオオン!!



 大鬼さまの大きな声が地下通路で反響する。


「けど……君は、誰にも頼らず二人で逃げようとしたオニ! そんな君に鬼子ちゃんは任せられないオニ!」 

「ご、誤解です! そんなつもりは!」

「言い訳はやめろオニ!!」



ドォオオオオン!!



「……私は過ちを犯したオニ。それを今ここで精算するオニ!」

「あ、過ち……?」

「それを君が知る必要はないオニ! 鬼子ちゃんこっちにくるオニ! 鬼子ちゃんは私が守るオニ!」

「キャーーーーっ!!」


 大鬼さまの大きな声と鬼子ちゃんの悲鳴が地下通路でしばらく反響していた。




ED4 怒りのラプソディ

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鬼ヶ島アイドルオタクラプソディ 丸焦ししゃも @sisyamoA

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