一日一首(令和元年七月)

常に日を惜しみて無駄に暮らすなく老いては益々楽しみ増やせ


「保養とて病を慎み医を選べ」益軒の言葉は今に通じる


「益軒の養生の術(すべ)とは「身を動かし気をめぐらすこと」と悟りうべなふ


益軒のメンタルヘルスはつづまりは「こころ和(やは)らげ楽しみたまへ」に


すべからく「臨機応変」になさるべし良医のならひは「温故而知新」ぞ


ハンデとはゲームを楽しむ知恵なれば現代社会の潤滑油なるぞ


兼好の願ふ良き友三つありて物くるる人と医者と知恵者と


「高名の木登り」読みて得心す危機管理の要諦は時を超ゆると


ナースらに「老人力ね」とおだてられ老健施設を飛びまはる 今日も


老健も老々介護のながれあり〈介護助手〉にて活性化せむ


やうやくに仮設床屋に回りゐるサインポールも復興の兆し


老健の〈介護助手〉こそ得難きかな老々介護ふゆる世となり


鴨長明の強さを秘むる無常観は災害おほき世にこそ光る


またしても黒川伊保子の言にしてやらる。「成熟脳は五十六歳から」と


タウン誌の原稿依頼に舞ひあがり爺医われの脳は締切の冬へ


「Let it be!」と有りのまま生くる老いの知恵 げにすべからくは心の養生


夏陽反(かへ)す巨大ガスタンク かの甘さたつぷりの西瓜・縞王とも見ゆ


タウン誌の原稿依頼の締切は4カ月先なれど〈To Doリスト〉に


顔パスで「シニア二枚」が通るのに免許証まで添える野暮あり


認知症・痴呆・ボケなど煩しディメンシアにて済ましたく候


顔みれば「シニア二枚」が効く寄席に免許証まで添えるは野暮なり


「にんち」とは俺のことかと認知症。ディメンシアにて済ましたく候


爺医なれば「You」より「We」で語りたし 診察室の空気よみつつ


「KY」とはよくぞ言ひたり山本七平 はやりの〈忖度〉も予言しにけり


食へるうち作れるうちの楽しみと鰯の蒲焼き匂ふ夕暮


「水さすな空気よめ」とふその空気にも水はさし得る瑞穂の国よ


〈やりたし〉が〈やらねばならぬ〉にならぬやう 楽しみながら‘老い’生きゆかん


小三治の〈ま・く・ら〉を読みつつ大笑ひ ベランダの陽差は梅雨明けのもの


自らの山本書店を七平は「世界最小」と誇らしげに言ひき


医者なれば他人の病も飯のタネ? 否それを超えたる「救ふ」とふ天職ぞ


ノルマとして一日一首を投稿す 今日の一首は暑中見舞を

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