【第1部終了】夜中の学校で出会ったのは、俺と犬猿の仲の学年一の美少女の泡瀬さんでした。

第15話 泡瀬と気まずい帰り道

　授業も終わり、今日は部活もなく澪もいないので今日はのんびり帰るとするか？

　俺は、ヨウと少し駄弁った後帰り道をのんびり歩いていた。

　今日も澪がいないと調子が狂うな。にしても、今日の朝の泡瀬の態度は何だったんだろう？ …まぁ、最近の泡瀬おかしいし、考えても分からんか。

　それにしても深谷先輩は、不思議な先輩だ。

　あれだけ後輩っぽい先輩はいないだろうし…何故か話していると時折メモを取るのだ。

　まるで、何かに使うかのように真剣にメモをしている…謎だ。

　とりあえず…。

「今日の赤面した泡瀬は可愛かったよな。普段からああならいいのに」

「〜〜ッッ//！？ …そうなの！？」

「あぁ、普段からああなら…って泡瀬！？」

　やべ、考え事しながら歩いていたから全く気づかなかった。もしかして…今の「可愛かった」発言聞かれた？

「あ、泡瀬奇遇だな」

「いや、私はあなたを待ってたんだけど」

「えっ、なんで？」

　泡瀬が俺を待つ理由など見当たらないが…あれか？ 朝の寝ぼけている泡瀬をみんなに言わないように口止めか？

「大丈夫だ。お前のことを聞かれても俺は黙秘する所存だ」

「別にそんなこと求めてないよ！？ なにと勘違いしたの！？」

「ただ、もしここで罪から逃げたとしても後悔するのは泡瀬だぞ？」

「私、本当に何やっちゃったの！？」

「人を殺りたいという気持ちは分からんでもない。俺にも、あったしな」

「私、殺っちゃったの！？ そして、共感しちゃダメでは？」

「じゃあ、先生行くから…経験者としてのアドバイスだ。自首は早くしろよ？」

「いつから先生になったの！？ そして、私なんにもやってないんですが！？ ってか、さっきから適当にしゃべってるでしょ？」

「ギクッ そんなことナイゾ？ー」

　まずいバレたか？ いや、正直俺は朝と昼の件で疲れているから泡瀬と話すほど体力が残っていないのだが…。

　それに、さっきの「可愛かった」発言を掘り返されると精神的に死にかねないので泡瀬となるべく話したくないのだ。

「そうじゃなくて、今朝の事について話をしたかったの」

「あぁ…うん」

「なにその反応！？」

　やっぱりそれだよな。朝、寝ぼけているとはいえ深谷先輩を何故か毛嫌いしたりとやらかしてたし…自分を責めていてもおかしくない。もう、今日の俺真面目な話する気力ないんですが。

「あっ、ちなみに深谷先輩にはあの後会って謝ったよ？」

「え？ じゃあ、何の話だ？」

「え、ええっと、今朝の私あなたに沢山迷惑かけたよね？」

「ま、まあ、だが朝弱いみたいだし…体質は人によって様々だから仕方ないとは思うぞ？」

「うっ、なんで最近鳥田優しいの？」

「泡瀬には、万全の状態でいて欲しいからな。心配なんだよ」

「…もういい」

　あれ？ 顔を反対に向けて目を合わせてくれなくなったんだけど？ もしかして、俺今まずいこと言った！？

「そ、それで話を戻すんだけど…朝の私は私じゃないというか、なんと言うか…忘れてくれると助かるんだけど」

　相当、朝の記憶は恥ずかしかったようで頭を抱えている。

「まあ、それは全然いいんだが…それでいつもは朝どうしてたんだ？ あれだけ弱いと大変な気が」

「お母さんに送ってもらってたの…でも、色々あってね。しばらく送ってもらえないから頑張って行くことにしたの。今日がその1日目だった」

「しかし、あれじゃあとてもじゃないが、朝の1人登校は無理な気が…」

「大丈夫でしょ。多分」

「バカ！ それで襲われたりでもしたらなんにもならねぇんだぞ」

　なんで分からないんだ？ あんな無防備な状態じゃ危険なんだよ。

「…でも、お母さんに負担をこれ以上かける訳には」

「はぁ、仕方ない。8時5分だ」

「？」

「8時5分に俺と澪が迎えに行ってやる。これからそうしろ」

「えっ！？ でも、それじゃあ平井さんに迷惑が」

「うん、俺への迷惑は考えてないみたいだな」

「ついでに鳥田」

「ついで！？」

「うそうそ、鳥田にだって迷惑がかかる。だからさ、気持ちは嬉しいんだけど迷惑はかけたくないからさ」

「迷惑？ 何言ってんだ？ 俺は、ライバルを朝からからかいに行くだけだ。俺の私欲のために動いてんだから気にしなくていいんだよ」

　まぁ、朝の泡瀬は泡瀬さんだから、からかいづらいけど。

「あ、ありがとう。でも、平井さんは？」

「ふぅ、泡瀬よ。ツメが甘いな。学年一とはこんなものか？」

「なんだって？」

「澪はな…美少女が大好きで泡瀬とは前から話したがってたから多分大丈夫だ」

「そんなこと知るわけないよ！ それ知ってたら、逆に私なにもんよ！！」

「まぁ、澪にほっぺプニプニされまくるかもだけど…気にするな」

「気にするよ！？ 私、襲われちゃうじゃん！」

　ガチで澪やべぇんだよなぁ。美少女見かけると見境なく襲おうとするから、何度止めたことか。

「そんなわけで、俺と澪は多分私欲で動くから気にしなくていい」

「分かった。…本当に、ありがとう鳥田」

　泡瀬は、雲一つない満天の笑顔で俺に笑いかけてくる。本当に、嬉しそうな顔をしている。やっぱり、1人では不安だったのだろうか？ だが、今はそんなことを考えている余裕がない。

「…」

「鳥田？ おーい、鳥田？」

　俺の返事が一切ないので泡瀬が呼びかけてくるが今は、それどころじゃないんだよ。

　…泡瀬の笑顔は目に毒だ。回復する時間がないと死んでしまうほどには。

「反応がない。…あっ、そう言えばさっき鳥田、私のこと「可愛かった」って言ってたよね？ って鳥田！？ なんで、急に倒れたの！？ 顔が真っ青じゃん！？ あれ？ これ、息してる？ あれ？ 鳥田の魂的なのが鳥田の体から出てるんだけど！？ 待って、上にいかないでこの…動くな魂！ ぐぎぎ」

　補足:ちゃんと五分後くらいに蘇生に成功しました。

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　深谷先輩がいない話は第2章初ですね。

　久しぶりに2人の様子を描きたくなったので…入れてみました。第16話は話がちょっとすすんで第17話のラストでは一気に進むので読んでくださると幸いです。

　あっ、あと深谷先輩は負けヒロインではないことだけ伝えておきます。（ヒント）

　もし、少しでも良ければ星と応援をお願いします。では。