第9話 兵隊か何かですか?〜第1章 完〜

 俺と澪が教室に戻ってくると…そこには、


『お疲れ様でーす! 先程は、申し訳ありませんでしたあ!!』


 丸坊主の迷彩柄の服を服を着た男達が、俺と澪に向かって頭を下げている姿があった。

 えっ、マジで何これ? 俺、こんな奴らしらないんですが? 誰!? 誰なのこの人達!?


「うむ、苦しゅうない」


 澪が(ない)ヒゲをさする動作をする。

 そうすると、目の前の丸坊主迷彩柄の服、男達は。


「お疲れしゃーす!! 澪、大統領閣下!」


 とまた、深く頭を下げた。えっ!? まじて、今どう言う状況!? なんで、クラスメイトに襲われた後帰ってきたら、こんなことになってるわけ? そして、澪も満足気な顔してるんじゃないよ! 状況理解できてないの俺だけか?


「あ、あの、澪こいつら誰なの?」


 俺は、恐る恐る澪に尋ねる。そんな俺の問いに対し澪は当然のように答えた。


「何言ってるの、てっちゃん。クラスメイトでしょ? 忘れちゃったの?」

「いや、俺の記憶だとクラスメイトこんな丸坊主で迷彩柄の服を着た奴らではなかった気がするんだけど?」

「てっちゃんに襲いかかるくらい荒れてたから…兵隊さんに改心させてみました☆」

「「みました☆」じゃない!! ってか、どうやったらこんなことできるんだよ!」

「必要な物はただ一つ、自分を信じる心…ではなく、圧力だよ」

「力で脅したってスッと言えや!!」


 なんて、恐ろしい奴なんだ。クラスメイトをものの数分であんな姿に変えさせてしまうとは。


「ってか、さすがに丸坊主はやりすぎじゃ?」

「まぁ、明日になったら生えてるでしょ?」

「生えないから! そんなギャグまんが的な世界じゃないから、ここ」

「えっ、そうなの?」

『そうだったでありますか!? 大統領閣下!?』

「えっ、それはその〜、今日を持って澪大統領政府は解体とします。苦情の件は新大統領閣下のヨウに言うようにお願いします」


 全部の責任ヨウに丸投げしやがった。とりあえず、俺は美味しい澪の手作り弁当に舌鼓をうちながら遠くから聞こえてくる「えっ、お前ら兵隊かなにか!?」「き、貴様のせいで我々は丸坊主に」「えっちょ、急にな____やめて、バリカンもって近づいてこないで、

 いやだぁぁぁ。せめて、縄を解いてくれええ」と言う音を聞こえないフリをして乗り切るのだった。


 ヨウ、さすがにやりすぎたとは思うけど…1人だけ丸坊主回避は良くないもんね☆

 一応祈っておいてやるか。ラーメン。


「なんか、今祈られるフリして「ラーメン」言われた気がする」「ふっ、無視をするとは貴様いい度胸じゃないか?」「ちょっ、本当にやめろぉぉぉ」


 ドンドンマイケ◯、ドンドンマ◯ケル〜♪(訳:どんまい)


 *


 そんなこんなで、色々ありすぎた1日だったが今日は珍しく俺は1人で帰っていた。普段なら、俺と澪は部活が同じなので一緒に帰るのだが…澪は今日は、家の用事らしく部活をやらずに帰ってしまったので1人で帰ることになったのだ。


 まぁ、たまには1人というのもいいことだ。

 澪といるのは楽しいが…たまに疲れる時もあるのだから。こういう、のんびりした時間があってもいい______。


「鳥田? おーい、鳥田?」


 後ろから、今日聞いたような声がしたけど無視をすることにする。そう、俺に今必要なのはゆっくりする時間。


「鳥田? 聞こえてるでしょ? 無視しないでよ!」

「…あぁ、いい夕焼け空だなぁ」

「いや、ここら辺住宅街すぎて夕焼け空とか全く見えないけど?」

「透視能力なんだなぁ」

「会話してるじゃん! 聞こえてるじゃん。無視しないでよ」

「いや、体力を使い果たしてるからお前と話すと倒れちゃうかもしれないんだよ。そもそも、なんで話しかけて来たんだ? 特に用がないなら俺は____」


 そう言いかけて、俺はふと口を閉じる。泡瀬の顔が今までに見たことないくらい緊張した顔をしていたからだ。どうしたんだろう?

 俺が、泡瀬の次の言葉を待っていると泡瀬は何かを決心した顔をして俺の前に手を突き出してきた。


 うん? 手の上に何かのってるな? これは_?


「と、と、鳥田、連絡先の交換しない?」

「えっ!? っっ!!// ゴホゴホ。 急にどうした!?」


 まさかの不意打ちに耐えきれずむせてしまった。急にどういうわけなんだ? 泡瀬は俺にスマホを差し出していた。


「あ、あの、昨日の勉強方法を教えるって言ったからそれを伝えるために」

「あっ、そういうことか」


 どうやら、俺の早とちりだったらしい。そういやそんな約束昨日したっけ? 泡瀬は律儀な奴だ。でも、まあ。


「そ、そういうことなら」

「う、うん」


 とは言え女子との連絡先交換は少し恥ずかしい。耳が赤くなってしまっていることを泡瀬に見られないか祈るばかりだ。心臓の音までは聞こえなさそうだけど…心拍数がドンドン上がっていく。これ、心臓飛び出てんじゃない?バレたら一生ネタにされる。


 こうして、俺と泡瀬は連絡先を交換するのだった。まさか、泡瀬の連絡先が俺のスマホに入る日が来ようとはな。


 *


 泡瀬さんside


 勉強方法を教えるためだけに連絡先を交換するのだけなのに、なんでこんなに緊張するの〜!? 願わくば、私の顔が耳まで真っ赤になってしまっていることが鳥田にバレませんように。




 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 どうも、ここまで読んでくださりありがとうございます。ここまでで、「夜中の学校で出会ったのは、俺と犬猿の仲の学年一の美少女の泡瀬さんでした」の第1部の第1章は終わりとなります。


 第2章では、新キャラも登場して泡瀬さんをかき回す予感。また、騒がしくなりそうです。


 もし、良ければ応援ボタンと星をお願いします。


 では、また第2章でお会いしましょう。











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