第25話 嫉妬か?やきもちか?ジェラシーか?【一樹】

 直生塚先生の一花への告白の事件から、1週間の時間が流れていた。


 まあ、ちょっと僕もね、その事実を知った時は、怒ってしまったけどね、一花に対してね。


 直塚先生が一花に告白したっていう、この事件。


 ここだけ切り取ると、一花が普通に被害者って考えられるけど、優や、翔なんかの話だと、どうも、その直塚と二人っきりになってしまったってところがさ、僕としては信じられなかったんだよ。


 普通に考えて、どうして自ら危険に飛び込む様な真似をしたのかって話。


 もともと、あの教師は特に女子生徒から人気がない。


 いや、的確に言うなら嫌われてる。


 以前も、3年生女子を口説いたらしく、学校で問題になる事件を起こしている。


 これは、僕らばこの学校に入る前の話だから、噂の範囲も出てないけど、以前に先生って立場で、女子生徒と、こんかいの未成年婚の寸前まで行ったって話がまことしやかにささやかれている。


 もちろん、その犯人が直塚なのかどうかはわからない。それにこの学校の噂にはなってはいるものの、もしかしたらよその学校の出来事かもしれない。


 話があるだけで、確たる証拠もない噂なんだ。


 それでも、この未成年婚って、年齢差のある場合、専門の調査機関が入るから、もし、それが大人側の都合で、未成年なものを妻とか夫にしようものなら、相当の覚悟がいるって話で、多くはその調査結果後に、犯罪とかが立証されてしまうケースは少なくない。


 つまりさ、大人がお金とか権力とか、見えずらい力を行使して、年端もいかない子供を毒牙にかけるなんてことも、かつてはあったらしいから、今回も、直塚先生はあれから学校に来ていないので、こっぴどく取り調べを受けているってのもわかる。


 そして、こういうことをする人って、同じことを繰り返すんだって。


 それにさ、もっと違った危険もあったんだ。


 というか、単純で簡単な危険。


 最初から直塚先生が、一花を襲うつもりなら、きっともっとひどい事になってたと思う。


 一花だってバカじゃないから、それなりの保険はかけてるとは思うけど、一花の夫としての立場から言わせると、やっぱり、もっと慎重になってほしいって思う。


 だから、あの時、一花がどう考えていたか知らないけど、直塚と二人にきりになるべきじゃなかったんだ、って僕は思う。


 そんなの、一花もわかってる筈で、どうして、直塚について行ってしまったのかっていう疑問が残る。


 ……………。


 一花が直塚先生と浮気とか? そんなことは考えてない。


 それは絶対にない。


 じゃあ、何かって話だよね。


 まあ、ある一定の推測はできるけどね。


 たぶん、あの直塚は、僕の名前を出したんだよ。


 『一樹の事で相談がある』


 とか、なんとか。


 僕、直塚先生を殴ってしまってるしね。


 僕が直塚を殴った事で、それを利用して、一花を誘ったんだよ。


 その確信は、ご飯を食べていた時の優と翔、一花との会話から得ることができた。


 優も、翔も、『なんで付いていったんだよ?」』的な質問に一花は答えなかったからね。


 僕を一瞬見て、ダンマリな一花だったんだよね。


 一花ってさ、嘘はつかないんだよ。


 ただ都合が悪くなると黙るんだ。


 本当に口を利かなくなる、その後の話をしなくなる。


 だからさ、仕方なう僕も黙るしかないんだ。


 だって、声を荒げて一花を責めたくないし、まして、大きな声なんて出すことは僕にはできないからさ、つまり、僕は一花に怒れない。


 一花は僕を怒らせたりって絶対にしないんだよ。


 怒ってるなあ、僕。


 いや、イラっとしているのかな。


 きっと、一花は僕の事、僕の名前を出されて行かざるをえなかった。


 直塚の、どんなにくだらない事でも、僕の事なら、どんなに可能性が低くたって一花は行くんだよ。


 それはそれでうれしいけどさ……。


 でも、さ、あんな奴とはいえ、一花が絶対に浮気なんてしない相手で、むしろ嫌ってるような人間にたいして、どうして二人っきりになるかなあ……。


 って、一花の危険とか、そんなことの前に、もしかして、とかありもしない可能性の前に、僕は勝手に傷ついているんだよね、いうなれば自分を自分で殴りつけてるのかもしれない。


 だって、実際に直塚に抱きしめられてるわけだしね。


 ああ、もう、本当にイライラする。


 明日は早いから、すぐに布団にもぐる僕だけど……。


 なんだろう、足音が聞こえる。


 ってか駆け足????


 次の瞬間、部屋の襖が開いて、真っ白い何かが突撃してきた。


 まあ、一花なんだけどね、なんで裸?


 「ちょ、ちょ、ちょっと! なんなの?」


 っていう頃には、すでに僕もパジャマを引きはがされてたよ。


 ぐるん、ばたん、ぎゅうぅぅぅ、、ガシって組み敷かれたよ、もう身動きできないよ。


 一花に好き勝手にされながら、明日は何を食べようかな、なんて一花の好物から取捨すつ僕だったよ。



 

 

 

 

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