15. 追放者の反逆戦③
15. 追放者の反逆戦③
ワーロック古城の中庭の通り道でグラッドと対峙し私はミーユとアティを先に行かせ、クロスのパーティーの要の前衛、戦士グラッドと戦っている。
「本気を出せだと?なら見せてやろうじゃないか……真っ二つにしてやる!」
グラッドの大剣に魔力が集まる。そうだこれは魔法剣だ。いよいよ私の挑発に乗り本気で来るみたいだ。いいね、それでいい。その攻撃を放った後……グラッドお前は絶望をするんだ!
「真空破斬!!!!!」
振り抜いた大剣からすべてをなぎ倒すほどの威力の真空波の魔法斬撃が私目掛けて飛んでくる。そしてそれは私を直撃する。その威力で視界に粉塵が巻き起こる。
「はぁはぁ少しやりすぎたか?」
粉塵が晴れていく。そう一つ目の絶望だ。
「な……」
「ゴホゴホッ……相変わらず馬鹿力だね?」
「無傷だと……なぜだ……このオレの本気の真空破斬だぞ!!?」
信じられないという顔をしているな。今まで何もできないという目で私を見てきた。ゴブリンやスライムを倒せないほどの非力なギルド冒険者、シルバーランク昇格の為のパーティーを埋めるためだけの『便利屋』、そうだお前たちは私の事を見てくれていなかった!!これじゃ足りない。もっと絶望を与えてやる!!
「グラッドの言葉を借りるよ。
そして私は剣を構える。もう一つの絶望を与えるために。
みんな忘れているよね?もしかして覚えていないかな?私は
「その構え……その技は……!!?」
「ったくそれで前衛の戦士なの?私が使い方を教えてあげるよ。こうやって使うんだよ……真空破斬!!!!!」
振り抜いた剣からグラッドと同じすべてをなぎ倒すほどの威力の真空波の魔法斬撃を飛ばす。そしてそれはグラッドを直撃する。そうだ『
「ぐっ……」
(こいつ……本当にあのエルン=アクセルロッドなのか!?……オレたちのパーティーにいた時とはまるで別人……一体……。)
「さぁ……どうする?まだやる?悪いけど……今の私は負ける気がしない。だって私は最強無敵だから!」
◇◇◇
中庭に大きな轟音と振動が伝わってくる。
「うわっと……なにさっきから一体?」
「あーグラッドがエルン=アクセルロッドたちのパーティーを潰してんじゃない?」
「かもね。まぁいいやロード、さっさとこの水とあの花手に入れて帰るわよ!」
ワーロック古城の中庭には大きな月の魔力に照らされた『月光水』そして『ムーラン花』が咲いている。そして先にたどり着いていたリーナとロードがまさに手に入れようとしている時。
「ちょっと待ってね、お2人さん?私たちがそうはさせないんだよね?」
「ミーユさん待ってください~……」
間一髪でミーユとアティが中庭に間に合うのだ。
「ちっ……グラッドの奴どうしたのよ。まさかエルン=アクセルロッド如きに苦戦してんじゃないわよね?」
「リーナ。それはないでしょ。だって一人で魔物も倒せないやつなんだよエルン=アクセルロッドは」
「確かにそうか……あり得ないわよねそんなこと!」
そんな会話を聞くミーユはいつも意味が分からないと首をかしげてしまう。それはエルンのスキル『
「どうするリーナ?あいつらを倒す?」
「面倒だけどやるしかないでしょ。まぁどうせすぐにグラッドが……」
「来ればよかったね?悪いけどグラッドは来ないよ」
遅れてヒーロー登場みたいな感じで私はみんなの前に現れる。予想外の出来事にリーナとロードは戸惑いを隠せない表情になる。まぁ無理もないけど。
「何であんたがここに……グラッドはどうしたのよ!」
「まさか……グラッドを?」
「嫌だなぁ。殺してはいないよ?負けを認めて私を通しただけだよ。」
殺してはいないけどグラッドの信念と心を完全に折ってやった。まさか『便利屋』としてしか見ていなかった私に負けるとは思っていなかったはずだからね。
「ありゃエルン。もう倒してきたの?」
「うん。」
「さすがエルン!それなら私とアティは『月光水』と『ムーラン花』を確保するね。じゃあやろうアティ!」
ミーユは私が来たことで依頼物を確保しようとする。いや私が来たからというべきだよね。それを見たリーナが言い放つ。
「ちょっと待ちなさい!それを渡すものですか!!」
素早い動きでミーユとアティの方へ向かってくるが私も後を追う。あっという間にミーユとアティの前に現れたリーナの回し蹴りが放たれるが間一髪追い付いた私がそれを受け止める。
「追いついたですって!?ウザいのよあんた!!」
リーナの素早い連撃が襲い掛かる。何発パンチや蹴りを放っていただろう、それをすべて受け止められてリーナは震える。ごめんね、私には無駄だよ。私はそれを全部受け止めるから。
「嘘でしょ……なんで……」
「どいてリーナ。調子に乗りすぎだよエルン=アクセルロッド、『エクスプロージョン』!!」
大きな爆炎が辺り一帯を包み込む。炎属性高位魔法をロードが放つ直撃すればひとたまりもない威力。のはずだった。煙の中から一瞬にして赤い魔力の塊がロードに襲いかかり大きな轟音と共に白煙を巻き上げた。
「ゴホゴホッ……うっ……どうして……」
「『エクスプロージョン』」
「どうしてお前がその魔法を!?そんな……そんな……」
私はリーナの攻撃を完全に封じ、ロードの得意な魔法で追い詰めてやる。これでこの2人ももう充分だろう。あの時、私にこう言っていたよね、「あんたみたいな劣化版がいるとギルドの依頼達成が無理なの」と。残念だったねリーナ。あなたが見下していたその劣化版の私に負けるなんてね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます