第9話
今は、三メートルを超える魔物と対峙している。それが、三匹。
後は、ゴブリンとかコボルトだな。多数だが、遠巻きに見ているだけだ。数は脅威だ。ミルキーを狙われることを考えると、あまり移動はできない。
一匹が前に進んで来た。
そんな太い武器を振り上げて来た。
私は、それを戦槌で受ける。
――ガキン
火花が散った。
そして目の前の巨大な魔物が、後ろに弾け飛んだ。
手は痺れているけど、膂力は相撲のアマチュア選手権決勝の相手に比べれば……、同じくらいかな? まあ、驚きはしなかった。
私は間髪入れずに、魔物の頭に斧を叩き込んだ。
大量の出血が見られる。兜が変形している。あれではもう動けないだろう。
「あれは、手当てしないと出血死だな……」
ここで、残りの二匹が左右から来た。
種族が違うのかな? 見た目がかなり違うし。武器も違う。
右手の魔物は、ナマクラと思われる幅広い剣で突いて来た。
左手の魔物は、鋭い爪のようだ。
武器が私に触れる……、その瞬間。
「……瞬動」
私は、一歩だけ、移動した。
そうすると魔物達は、互いの急所を貫いていた。同士討ちだ。
戦術の基本がなっていないな。左右からではなく、角度をつければ、同士討ちも避けられるのに。『殺し間』という戦術を教授してやりたい。
それと……。
「格闘術の師匠の方が、よっぽど迅かったよ」
膂力は、私とほぼ互角といえたけど、技術のない相手。雑魚としか感じない。動きも鈍いし。戦術も取り囲むだけだ。
脅威と言えば、数くらいだろう。さすがに百匹とか来たら、私でも苦戦しそうだが。その程度の相手だった。
ここで誰かが来た。そして、ゴブリン達との戦闘に入った。
ゴブリン共は、背後よりの奇襲で混乱している。
「冒険者の一団?」
「ヘーキチ……。これは君か? 魔物が罠を張っていると連絡を受けたんだが」
この人、副ギルド長だったな。面識がある。
周囲を見渡す。
周囲を魔物が取り囲んでいたが、逃げ始めたようだ。
「冒険者が、数人倒れていた。今思うと、餌にしておびき寄せられていたのかもしれんな。その後は、囲まれたので迎撃だった。今日は、予定変更した方がいいかもしれない……」
事後処理が面倒そうだ。
ここで、ミルキーも樹から降りて来た。
「今日は、二人で組んでいる。報告が必要そうなので、一度街に戻るか?」
私の言葉に、ミルキーが頷く。
「銀の認識票も回収しましたし、報告に戻った方がいいのニャ」
「その前に確認だ。オーガ、オーク、トロールを倒したのはヘーキチなのか?」
最後に倒した三匹は、そんな種族だったのか?
ゴブリンを率いていたので、ホブゴブリンだと思っていたが、もっと上位の魔物を倒していたみたいだ。
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