第14話 涼風



朝夕も涼しくなり

布製の扉を開け放って眠れば

朝の風は冷たく

まだ目を瞑っていた私の頬を撫でる


山麓の布張りの屋根の外

小鳥達は既に目覚め

朝のご挨拶か

世間話に忙しそうで

声高に語り合う

いったい誰の噂をしているのだろうか?


風は流れ

空で形を変える雲が

遥か遠く高く過ぎ去っていくように見える

山から去って行く雲は

街の喧騒を眺めて何を思うのであろう?


小川を流れる水流は既に冷たく

心地良さそうに

野に咲く花が脚を浸けて

一陣の風にお辞儀をする


私の晩夏よ

そろそろ初秋


静かに幕を閉じよう

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晩夏 織風 羊 @orikaze

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