いつだって驚きは急に飛んでくる

俺の頭は少しばかり混乱していた。

駅への買い物帰りロータリーから金髪のチャラ男の車からあの真面目な委員長が降りてきたのだ。前は他の男と会ってたのに!?

これは一体どういうことだよォ!


「また落合さんですか。」


委員長の呆れ顔は俺の心に突き刺さる。

なんで俺何もしてないよね、?


「い、委員長これは一体どういう…」


「もう言い逃れできなさそうなんで少し話しましょう。場所が悪いのでどこかお店にでも行きましょう。」


という感じの成り行きで俺と委員長は安さで学生の味方でお馴染みのサイ○リアに来ていた。


「あ、ドリンクバーとミートドリアを2つずつで。」


「かしこまりました。」


委員長がサッと注文を済ませると俺たちはドリンクバーにドリンクを取りに行く。


俺がお茶で委員長がミルクティーである。


「それで、これは一体どういう状況だったんですか?委員長最近アクティブですね。」


こんな感じにオブラートに包んで聞くしか俺にはなかった。


「最近、私はパパ活を始めたんです。」


え、あ、え、俺の聞き間違えか?パパ活って言ったぞこの人。


「え、ちょっと待って俺の聞き間違えじゃなければパパ活って言ったよね?」


「シー、声が大きいです。」


おっと、あまりの衝撃に声が抑えられていなかったようだ。


「私には、お金が足りないんです。私だって本当はこんな方法取りたくなかった。」


委員長は語りだす。親がクズなこと、弟たちを支えなければならないこと、進学するためのお金も必要なこと。


「ならアルバイトすればいいんじゃないか?」


「知ってますか?パパ活って1回で3万円とか稼げるんですよ?」


「さ、3万円!?」


俺のお小遣いの10倍じゃねぇかあ…確かに委員長は整った顔をしていて色んな人に人気でモテている。委員長だからの価格だろうか。


「でも、やめた方がいいぞ?事件に巻き込まれるかもしれないし、感染症とかにかかるかもしれない。」


いくらお金のためとはいえ、委員長にこんな辛い思いはして欲しくない。俺そんなに委員長と関わってないけど。


「でも、お金はどうしても必要になる、もうやめられないんですよ。こうするしかないんですよ。」


彼女の目には涙が潤んでいた。助けてあげたい、だけど俺にはどうすることもできない。そんな無力な自分が嫌になりそうだ。


「そっか、でも少しでも何とかなる方法を探してみようよ。」


「とりあえず推薦を取って大学に行けば学費が免除になるかもしれません。ですが弟たちのことを考えるとやはりお金が。」


お金だけは俺にはまだどうしようもできない。その日は俺が誰にも口外しないことを約束して解散となった。



「まさか委員長にあんな思いがあったとは。」


俺は重いため息を吐くと委員長のことをどうすればいいか考える。

そんな時一通のLINEが来ていた。


『明日浜松駅前に集合ね。カラオケ行こ。』

それは葛原さんからのメッセージであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る